「私、前から言おうと思ってたんだけど……」
という切り出しで喜ばれるのは愛の告白だけ。どうもこんにちはSREのVTRyoです。 どっちにしろこんな切り出し方をされたら心臓に悪いのは間違いないので、できることなら思ったときに言ってほしいです。
今日はマネーフォワードクラウド勤怠チームの「業務中に抱いたモヤモヤ、言いたいことはどんどん健全に伝えていこうな」の文化醸成について話していこうと思います。
その背景には、
- 少数精鋭でユーザに最速で価値を届けるために必要な文化をつくりたい
- 情報と意見が前のめりに流通し、改善・学習のサイクルが回っている状態をつくりたい
というチームの心意気があります。
"気になってたけど言わなかった"が起こすギルティ
「気になってたけど言わなかったんですよね」問題が起こすギルティとして、代表的なものを挙げてみましょう(※弊チームにそのような課題があったわけではないです)。
- ヒヤリハットを見逃して事故になる
- ハインリッヒの法則「1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常(ヒヤリ・ハット)が存在する」
- 軽微な事故になる前の異常を見つけるのは日々のコミュニケーション
- モヤモヤをためながらの仕事はストレスを蓄積する
- 「こっちのほうが良いと思うんだけどな」なんて考えて仕事しても精神衛生上よくない
- 不要な作業を進めている(かもしれない)
- 「これってどうしてやるんですか?」の一言が言えなかったために、無駄な作業をしたりしているかもしれない
このあたりは心当たりがあるのではないでしょうか。 人間同士、関係性を壊したくない。面倒な空気にしたくない。大いに気持ちはわかります。
しかし、弊チームではこの「気になってたけど言わなかった」とそもそも思わせないために取り組みをしています。
すれ違いは起こるものとして
プロダクト開発に限らず、ものづくりにおいて認識の齟齬は時として手痛い手戻りや衝突を生んでしまいます。 全関係者が、最善の手を尽くしている前提で進んでいたとしてもです。
その上ですれ違いを悪として完全に撲滅するのではなく、建設的に意見し合うことでプロダクトをもっと前へ進めようと日々工夫してみましょう。 (なるべく認識がずれないよう、仕様を確認する会議や開発プロセス可視化の会議が行われていますが、こちらはまた別のブログの機会に)
起きてしまうのは仕方ない。最善を尽くしながらも、失敗を前提に設計するというのはSRE的にポイント高いです。
では、このことを前提に弊チームの具体的取り組みをご紹介します。
1. チームの目標として「"気になってたけど言わなかった"はなしにしよう」を置く
最もわかりやすいのが、個人目標・チーム目標として達成することによるインセンティブを用意することです。
Slackでも1on1でも、まずは言っても良いという前提を表明することは重要なのではないでしょうか。 ただし、これを設定しただけで突如言えるようになるわけではありません。
よって、チームの目標として設定するのは以下のような目的があります。
- 意識付けとしての設定
- 言葉にするときの大義名分
あくまで "言いやすいような空気づくり"の土台 くらいに捉えておきましょう。
2. モヤモヤを言葉にする習慣を日々つける"ふりかえりの時間"を取る
モヤモヤというのは言語化する習慣がないと咄嗟に出てきません。
「あ〜、なんかわからないけどモヤるんですよね。にゃ〜ん」って言われても全然伝わりません。 この語彙力を改善するためにも、日頃から モヤりポイントを言葉にして伝える練習を取ってみましょう。
人に伝えるために言葉にするには、具体性が必要になります。 具体化する過程で、本人も情報が整理されます。共有されたメンバーも「こういう課題があるんだ」と頭の片隅に残ります。さらに、メンバー内に解決策を持っている人がいた場合は状況が変わる可能性すら持っています。
モヤりポイントの言語化が実現できれば、言葉にするハードルが高いばかりに「言おうと思ったけど言わなかった」パターンを減らしつつ、共有による情報流通もできて一石二鳥です。
クラウド勤怠チームでは平日の夕方から開発会議を実施しているので、そのタイミングでその日ごとのふりかえりで練習してみました。
以下の点を意識して実施します。
- 本日の感想(憤り、よかったこと、もったいなかったことなど)
- ここはこうすればよかったかもなあ、と自分なりの感想
なお堅苦しくしすぎると、負荷が高くなって継続が困難になりがちです。 「今日はミーティングの時間なくなったので内省に留めておきましょう」くらいの柔軟性を維持しておきます。
あくまでこれは言語化の練習であり、気軽につらみを共有できる空間にすること を忘れずにやっていきましょう。
なお、メンバーのモヤモヤ共有は時として、新たな知見を共有につながるのです……!
(スプレッドシードでチケットインポートできることを知った例。そのあと僕がインポートを真似した)
開発会議で"この話を聞いてくれ"コーナーを取る
ふりかえりによる言語化練習が習慣化される頃、より長めの時間でシェアできる機会を設けることにしました。
長めのシェア時間として、クラウド勤怠チームの開発会議では「持ち込みネタ」コーナーが設置されました。 共有したいことがある人は、それを自発的に話すようにしています。(当番制にはしません)
自発的になので、ネタがない日もあるんじゃないか?と思ったりしましたが、これが意外と 毎日ネタが持ち込まれます。 (数字的根拠は今はないのですが)日頃からほんの些細なつらみも共有しておくことで、より強いペインや疑問点が話しやすくなっているのかもしれません。
(ルールはなく、特段に宣言する必要もない。「サプライズで持ち込みネタを秘匿しておきました」という例もあった)
3. "新たな発想" "そもそも論" 気づきをくれた人の発言に歓迎を
先述したように、言葉にして共有してくれたことで周りの人は気づきを得ることが出来ます。
マネーフォワードでは、感謝を伝えるemotipというツールを自社開発しています。これを使って、都度良かったことを言葉にします(言葉にするだけならemotipは必要ないと思うので、これはツールがなくてもできるでしょう)。
言葉にするのは、練習しないとなかなか難しいものです。 ご時世的に出社が激減し、テキストコミニュケーションやオンライン通話コミュニケーションになっているため、指示語や代名詞を使う習慣があった人は苦労しているかもしれません。
ここを乗り越え、問題を共有してくれる方は本当に貴重で素晴らしいと思います。 そう思っていることをチーム全体でどんどんシェアしていくことで、言いにくいことも伝え合える空気を作れるでしょう。
さいごに
クラウド勤怠チームでは日々このようなカルチャーを醸成し、開発体験の向上を図っています。
なおマネーフォワードでは、多くのスモールチームがチームごとに文化を醸成しています。 チームの数だけ人と文化があると思うと、他チームの取り組みもぜひ見てみたい。わくわくしますね?
番宣になりますが、気になった方はぜひカジュアル面談等を絶賛受付中です。
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