はじめに

2016年6月、「コメダ珈琲店」をFC展開する(株)コメダホールディングス(以下コメダHD)が上場しました。コメダの本社は、ドリンク代だけでトースト・ゆで卵などがつく「モーニング」発祥の地とされる名古屋。地元で人気を博したのち、関東・関西にも店舗を展開しました。16年8月末には、「コメダ珈琲店」の店舗数は700店舗を超え、順調に成長しています。

従業員が客席で注文を取りコーヒーを運ぶスタイルのサービスで、シニア層やファミリー層に支持されている「コメダ珈琲店」。その魅力を探ります。


ゆったりと滞在できる「コメダ珈琲店」

10月下旬の小雨がぱらつく火曜日の午後4時。小学生の娘と郊外の「コメダ珈琲店」に向かいました。駐車場は広々としているため、運転にあまり自信のない筆者でも安心して駐車することができます。シニア層やファミリー層に人気の秘密はこのような点にもあるのでしょう。

中途半端な時間帯にも関わらず、店内は8割ほど埋まっていました。シニア層の夫婦や、女性同士のグループが目立ちます。席に座るとすぐに、温かい布おしぼりとお冷が運ばれてきました。娘はクリームソーダ、筆者は珈琲ジェリーを注文します。クリームソーダには豆菓子がついてきます。布おしぼりやおまけの豆菓子が提供されることで、「もてなされている」という印象を受けました。

座席は、背もたれの高さがあるため、周囲の目線が気になりにくい構造です。ゆったりと座席に座り、娘との時間を過ごすことができそうです。周囲のお客さんは、コーヒーだけを飲んでいる人が多いですが、女性客の中にはスイーツを注文している人もいました。多くの人のお皿やコップが空になっていましたが、店員は笑顔でお冷をついで回っていました。

1時間ほど滞在して帰ることにしましたが、周囲のお客さんは3分の1ほどしか入れ替わっていません。やはり、長時間滞在するお客さんが多いのだなと実感しました。お会計は1,020円。決して安くはありませんが、満足度の高い時間を過ごすことができました。

コメダHDの業績は……予想外!

サービスに厳しい主婦である筆者も満足させる「コメダ珈琲店」。運営コストは同業他社よりも多くかかるのではと予想し、コメダHDの業績を見てみることにしました。

コメダHDのウェブサイトを見ると、17年2月期の第二四半期決算が開示されていました。これは、16年2月から8月までの半年間の企業の活動状況を投資家などに報告するものです。専門的な内容の「決算短信」だけでなく、一般の方にも見やすい「決算説明資料」や「決算説明 動画配信」も公開されています。

「店舗数が増え、それに伴い売上も増えているものの、良いサービスを提供するための経費(材料費や人件費)もかさみ、さほど儲かっていないのでは?」と予想しつつ、さっそく実際の業績をチェックしてみたところ、意外な数値にびっくりさせられることとなりました。

今回、着目した指標は次の3つです。

  1. 「倒産してしまう可能性はないか」を表す「自己資本比率
  2. 「本業で効率的に儲けているか」を表す「売上高営業利益率
  3. 「本業でどのくらい現金を稼いでいるか」を表す「営業活動によるキャッシュフロー

コメダHDの指標を、同業他社の(株)ドトール・日レスホールディングス(以下、ドトールHD)と比べながら見ていきましょう。

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