募集
「MONEY PLUS」ではライターを募集しています。専門知識を活かして記事を書きませんか?

芥川賞作家・羽田圭介 ロボアドバイザーと出合う

本業に集中できる投資環境を求めて

芥川賞作家・羽田圭介 ロボアドバイザーと出合う

将来の年金不安や低金利政策により、株式や債券などを対象にした資産運用のニーズが高まっています。しかし、こうしたリスク投資にはある程度の金融知識や日常的な相場チェックが必要なため、多忙な人には難しいという面も――。

「本業に集中するため投資について考える時間を減らしたい」と話す芥川賞作家・羽田圭介氏がネット証券大手の松井証券を訪れ、忙しい人でもできる投資について情報交換しました。


羽田圭介の投資スタイル

――羽田さんはご自分でかなり投資をなさっているそうですが、いつから、どんなきっかけで始められたのですか。

羽田氏(以下同様):4年ほど前に個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)を始めたのが最初です。当時はすでに勤めていた会社を辞めて専業の作家として活動していましたが、芥川賞をいただく前でもあり、贅沢ができるような収入はありませんでした。

一人暮らしをするためのマンションを買って、ローンを返済するだけなので、賃貸物件に住むより余裕はありましたが、贅沢はまったくできませんでした。可視化されない緩い貧困です。書店の文芸書の棚はどんどん奥に追いやられ、近所の大きな書店に自分の本が置かれていないのを見ては、不安でいっぱいになっていました。否応なしにお金について考えるようになったとき、iDeCoに出合ったのです。

老後に備えてお金を積み立てながら現役時代にも税制優遇を受けられる有利な制度と知って、すぐに加入しました。今ではiDeCo以外でも投資をしています。

――株式や投資信託などさまざまな金融商品がありますよね。どのような商品に投資されたのでしょうか?

当初は投資に関する知識があまりなかったので、勉強しながら始めました。最初の1年は日本や海外の株式、REIT(不動産投資信託)などいろいろな商品を買って値動きを見ていました。

でもiDeCoの枠内でやるぶんには、先進国株式を対象とする投資信託に運用資金のほぼ全額を投資するスタイルで落ち着きました。長い目で見れば、これが一番利益が大きいと考えたからです。

――全額を先進国株式ですか? 一般的には、資産は国内外の株式や債券に広く分散して投資することで、運用成績が安定するとされています。

リスク分散は重視していますよ。でもそれはお金だけでなく、自分自身という人的資産も含めて考えるべきだと思っています。

僕は日本の読者に向けて日本語の小説を書いて売るのが仕事なので、それだけで日本のマーケットにどっぷり依存しています。だから、資産は主に日本以外に投資するべきだと考えたのです。

――なるほど、そういう考え方もあるのですね。新興国や、海外の債券は投資対象にしないのですか。

新興国は当面の成長はすでに相場に織り込まれている、というような趣旨の本を読んで、とても納得したのでしばらくは投資しなくてもいいと思っています。

債券は株式よりも値動きが安定している資産だと認識してますが、自分はまだ若く、知識もついてきたので安定はあまり重視していません。今は株式で思い切ったリスクを取って成長を目指したいという思いがあります。

些細な損切りを繰り返していると資産がなくなる?

――投資する銘柄はどんな基準で選んでいるのでしょう。

僕は、債券は買わないけれど、債券のような感覚で保有できる銘柄を選んでいますね。というのも、僕は損切りをしないのです。利益が出たら売却して確定しますが、値下がりしたら基本的には「塩漬け」します。

――投資の教科書的には、早めの「損切り」が必須といわれています。

もちろんそれは知ってます。でも僕は、実際のところ個人投資家が些細な損切りを繰り返していたら、最終的に資産がなくなってしまうのではないかと感じているのです。うまく損切りをして成功した人の声は世に出ても、それで失敗し退場していった大多数の人の声は世に出ないという、当然のことを踏まえてです。

株価は変動するものなので、一時的に損失が出てもまた値上がりすると思える銘柄なら放置します。短期で結果を出すことを求められる機関投資家と違って、個人は長期で勝負できるのが強みですから。高配当株であれば、含み損に耐えている間も配当を受け取り続けることができるので気が楽なのです。

――日本の個別株には、チャンスがあれば投資しようと思われていますか。

現在は、債券代わりになる配当銘柄が割安なときに買い、過熱気味になったら売却するということもやっています。しかし、わりと冷静でいられる性格の自分でも、日本株は厄介な存在です。というのも、日本の株式市場は平日の日中に開いていますよね。本来、執筆に集中しなければならない時間なのに、乱高下が大きい時期など、どうしても気になってしまうときもあります。

放っておけばいいのでしょうが、けっこう変動幅も大きいのでそうもいかない。株価がこのぐらいになったら売買しようというシナリオはあらかじめ決めているのですが、大きく動いている市場を目の当たりにすると、「やっぱり今、売買したほうがいいのではないか」とあせって、判断が揺らいでしまうこともあります。

12

Card Stocks

連載・特集

Ranking

Pick Up

Keyword

Authors