東芝株急落、シャープ下回る 泥沼の先に光はあるか

不正会計と巨額損失の行く末を占う

東芝株急落、シャープ下回る 泥沼の先に光はあるか

二日で時価総額およそ5600億円が消滅――。経営再建中の東芝が再び窮地に追い込まれた。

昨年末、同社の米子会社が買収した原子力サービス企業に、買収時には想定していなかった損失が出ることがわかりました。「損失額は数千億円に上る」という発表に東芝株は二日続けて大幅下落。経営破たんして再建中のシャープの株価を下回る緊急事態に陥りました。

なぜそんなことが起きたのか?そして、東芝の今後の行方は。状況をまとめてみましょう。


買収した米国会社で発生した巨額損失

2016年12月27日、東芝の経営陣は記者会見に臨み、原子力事業を担当するアメリカの子会社ウェスチングハウスが2015年末に買収した原子力サービス会社のCB&Iウェブスターに買収当初は想定していなかった巨額のコストが発生し、数千億円規模の減損損失が発生するということを明らかにしました。

問題発覚前に見込んでいた今期の連結最終損益は1450億円の黒字でしたが、そこに数千億円の減損が発生すれば最終赤字転落ということになります。しかも東芝の場合は単なる赤字転落ではなく、三期連続の最終赤字になります。これが今回の騒動のひとつめのポイントです。

前期・前々期が大幅な最終赤字になったのは、大問題になった不正会計の影響です。歴代三社長の下で「チャレンジ」と呼ばれる過大な経営目標達成のプレッシャーがかけられ、部門レベルで利益にならない項目を利益に読み替えるなどして、利益を水増し報告していたということが東芝の不正会計問題です。実際の東芝は赤字体質だったことが発覚し、社会問題になったわけです。

さらなる問題は、実質的な債務超過

過去の痛手から立ち直りをはかり、今期はようやく黒字となるはずが、一転して大幅な赤字が予想されるということで株式市場では狼狽売りが発生しました。今回、投資家が狼狽するも無理ないのは、損失がいくらになるのか来年2月の決算発表まで確定できないというからです。

実は、東芝にとって数千億円の減損処理は“致命的なライン”を超える可能性がある危険な数字です。今年9月末時点での東芝の自己資本は3600億円。「数千億円規模」という損失がそれを超えれば一気に債務超過に陥ってしまいます。これが狼狽売りが出た第二の理由です。

債務超過になれば上場が維持できず、上場が維持できなければ巨額の資金調達を前提に存在している東芝という企業自体が存続できません。債務超過になっていようがなっていまいが、東芝にとっては資本増強が急務になりました。

しかし、ここにも問題があります。

企業価値がわずか2日で3割も下落した理由

債務超過から脱するために、これから数か月の間、東芝はさまざまな投資家と交渉を続けながら、なんらかの形で増資に踏み切ることになるはずです。

しかし、ここで問題になるのは、資本増強をすれば既存の株主の持ち分が大きく減るということです。

簡単に言えば、現在の株主価値が債務超過でゼロになれば、新たに増資に乗る投資家は、「JALが再生手続きをしたときのように、これまでの株式の価値をゼロにしてもらって、新たに投資した分が企業価値の大半になる条件でなければ増資する価値がない」と言い出す可能性があるのです。

当然、まだそこまでいたらない可能性もありますが、既存株主が持つ株式の価値を減資という形で下げ、新たな株主を優遇する形での増資になる可能性は高いでしょう。東芝の企業価値がわずか2日で3割も下落したのは、「3割減資は十分ありうる」と市場が考えたことの反映ともいえます。

そして実際に、どのような形で資本を増強するのかについて、投資家は東芝の経営陣を信じることができない。これが第三の問題点です。

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