はじめに

毎月最終金曜日は早く帰宅しよう――。

2月24日、ついに初の「プレミアムフライデー」が始まります。賛同する企業も増えるなか、ユニークな試みを導入する企業も登場。なんと全従業員に支援金を支給するというのです。今回は特殊な例になりますが、もしあなたも3,200円の支援金をもらえるとしたら、金曜日の午後をどう過ごしますか?


「プチぜいたく」で個人消費を喚起

2017年2月24日から始まる、プレミアムフライデーをご存知でしょうか?

個人が幸せや楽しさを感じられる体験(買物や家族との外食、観光等)や、そのための時間の創出を促すこと目指し、日本政府と経済界が提唱する新たな個人消費喚起キャンペーンです。経済産業省は経団連などと連携し、月末の金曜日は就業時間を午後3時までと早めるように企業に呼びかけています。

朝日新聞の報道によると、「経産省は広告費などとして、2016年度の補正予算に2億円を計上」とその普及に本気の姿勢です。

また、経済産業省、日本百貨店協会、日本チェーンストア協会など流通業界団体は、プレミアムフライデーを使って消費者に「プチぜいたく」してもらうための検討会を設置。買い物、飲食、週末を先取りした旅行など、個人が自由に楽しむことで消費が生まれると、各社は来る日に向けて、さまざまな販促キャンペーンを企画し、盛り上がりをみせています。

支援金3,200円 非正規雇用社員にも

現在、賛同を表明しているのは、イオン、サントリー、JTB、住友商事、JR東日本、三井不動産など大手企業が続々と名を連ねます。プレミアムフライデーに賛同する企業・団体向けロゴマークの使用申請企業・団体数は、2月13日時点で1,460を突破。大手を中心に、今後より広がりをみせることが期待されています。

賛同している多くの企業が、月末金曜日の就業時間を午後休にしたり、15時までとしたりするなかで、ユニークな制度を発表したのが、PR大手のサニーサイドアップです。

プレミアムフライデーに向けた福利厚生制度として、楽しい金曜日を過ごしてもらうための「たのきん」制度を導入しました。

サニーサイドアップの「たのきん制度」

・毎月末金曜日の就業時間(通常午前10時~19時まで)を午前10時〜15時までに
・プレミアムフライデー初回日には非正規雇用社員を含む全メンバーに 「プレミアムフライデー支援金」3,200円を支給
・非正規雇用社員は、毎月最終金曜日の就労終業時間を15時までと定めますが、19時までの通常給与を全額支給
・毎月末金曜日の15時以降は、社内会議、および社内行事等を実施しない

この斬新な取り組みに対し、社内ではどのような反響があったのでしょうか? 同社広報担当の田実さんに聞きました。

「社員は当社らしい試みだと認識していると思います。もともと当社には『恋愛勝負休暇』『失恋休暇』『ファミリーホリデー』などのプライベート充実休暇制度や、健康維持促進のための『幸せは歩いてこない』制度など、ユニークな制度があります」と田実さんは話します。

全メンバーに支給されるという太っ腹な支援金は3,200円。その支給方法や気になる使い道については、「支援金は当日に所属上長から手渡しします。使い道は人それぞれ。幸せや楽しさを感じられる豊かな時間に使ってほしいですね」(田実さん)。

支援金は初回の2月24日分だけを想定しているようですが、今後も世間の反響などを考慮しながら、新しい施策を考えていくそう。

同社の次原悦子代表取締役社長は「仕事が充実すれば、プライベートも充実し、プライベートが充実すれば、よりよい仕事に結びつくものだと私たちは考えます。一度きりの人生ですから、弊社のメンバーには、仕事もプライベートも謳歌してもらいたいと考えます」とコメント。

プレミアムフライデーは、長時間労働を是正する「働き方改革」の一環としても期待されていますが、その一方で、派遣社員など時給制で働く非正規社員にとっては就業時間が削られることで、収入が減ってしまうことも。

また、消費が低迷するなか、「早く帰宅できても自由に使えるお金がなければ、景気拡大につながらない」と否定的な意見も聞こえてきます。

「支援金の支給」「定時までの給与を全額支給」といった同社のような取り組みが広がれば、単純な労働時間の削減だけではない、働きやすさの改善につながるでしょう。

初回実施はもうすぐ。よりよい制度になることを願って、その動向を見守りましょう。

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