はじめに

海外旅行の格安ツアーを手がける「てるみくらぶ」が東京地裁に自己破産を申請しました。負債額は約151億円。旅行者からは約100億円分の代金を受け取ったままで、航空券が発行不能になったり、ホテルがキャンセルとなったり、その被害を受ける人は合計3万6,000人にのぼるといいます。

ちょうど春休みからゴールデンウィークにかけての旅行を楽しみにしていた人たちに、この経営破綻の影響が直撃することになりました。

格安なサービスには思わぬ落とし穴があるということを、改めて浮き彫りにした今回の事態。そんななか、旅行業界最大手のH.I.S.が国内線航空券の欠航・遅延に対するお見舞い金サービスを始めるとアナウンスしました。この補償サービスには、どのような意味があるのか。まとめてみたいと思います。


「最安値」の向こう側に存在するのは?

格安旅行代理店・てるみくらぶの経営破綻は、多くのインターネットユーザーにとって対岸の火事ではありません。タイミングが悪ければ、誰もが被害者になっていた可能性があります。

なにしろ現代は、ネットを通じて“最安値”を検索することが当たり前となっている時代。家電でも生活用品でも、価格比較サイトやECモールなどを通して、最も安い商品を探して注文することに我々は慣れてしまっています。

そして、そうなると、消費者はどのお店から商品を買っているのかを意識しなくなります。しかし、意識していないだけで、実際には注文した先には一つひとつ違う小売店が存在しているのです。

多くが中小の小売店なので、経営状態がよいお店ばかりではないでしょう。最安値で商品を提供している店舗は、利益をぎりぎりまで削ってなんとか経営を成り立たせようとがんばっている状態かもしれません。

まさにそうだったのが、てるみくらぶです。経営が悪化した状況下でも新聞に広告を出し、なんとかしようと利幅の少ない商品を集めては販売を行っていました。

高額な航空券だからこそ「最安値」で

てるみくらぶの被害者にとって残念だったことのひとつは、海外旅行という商品が高額だったこと。高額だからこそ、私たちには少しでも安い商品をという気持ちが働きます。

実は私も普段から同じような行動をとっています。仕事柄、海外出張によく行くのですが、安価な航空券を探すために「スカイスキャナー」という価格比較サイトを通じて、運賃の安いフライトを探しています。

航空券というのは不思議なもので、同じフライトでも旅行会社によってかなり価格が違います。

ある時、アジア出張のためにビジネスクラスの航空券を探していたところ、アメリカ系の航空会社が安かったので、それに決めました。そしてなぜか、その航空会社の同じフライトを、日本の旅行会社よりもとても安い価格で売っていたのが名前も知らないようなギリシャの旅行会社でした。

その旅行会社のサイトにアクセスし、言語は英語を選択、そして必要な情報を入力すると無事、航空券が買えました。

ずいぶん安かったので少し心配に感じていましたが、当日、空港に行ったところ、なんの不都合もなく飛行機に乗れて、予約した通りの座席に座り、無事フライトをすますことができました

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