はじめに

5月、大型連休のはざまに上場来の最高値を大きく更新した銘柄があります。「ペッパーランチ」や行列必至の人気店「いきなり!ステーキ」をチェーン展開する「ペッパーフードサービス(証券コード:3053)」です。

今年1月時点で1,200円程度だった株価は、2月末に1,500円台を付けて1年半ぶりに上場来高値を更新、さらに5月2日には一時2,600円を超える急上昇を演じ、最高値を大きく塗り替えました。

なぜペッパーフードサービスは“いきなり”急騰したのか? その要因を3つにまとめてみました。


要因1:1Q好決算を手掛かりにした業績の急拡大に期待

株価を一段と押し上げたのが4月28日に出た業績の上方修正です。ペッパーフードは12月期決算なので第1四半期(1Q)の決算だったわけですが、次の中間決算予想の修正と合わせて早くも通期の上方修正を出してきました。

※業績予想の修正に関するお知らせ

会社の今期に対する自信の表れとしてポジティブに受け止められ、株価はストップ高。確かに1Qでの修正はかなりのサプライズでしたが、個人的に驚いたのは、1Qの実績です。

売上高営業利益
2015年1Q3,166105
2015年2Q3,694104
2015年3Q4,435124
2015年4Q4,903428
2016年1Q4,958199
2016年2Q5,326250
2016年3Q5,673179
2016年4Q6,376330
2017年1Q7,029**576**
2017年2Q(会社予想)6,476161

金額の単位:百万円

この表は、ペッパーフードの四半期ごとの売上と営業利益の推移を書き出したものですが、テクノロジー企業と間違うくらいの成長性です。特に売上高は上場する外食業界でトップクラスの伸び率を誇り、積極的な出店攻勢が数字に表れています。

さらに営業利益を見ると、2017年1Qでどーんと稼ぎが大きくなっていて、1Qは相当よい決算だったとわかると思います。

逆に、会社側の2Q(4~6月)の予想が保守的に見えます。1か月経った4月末にこの予想を出した意図はいまいちわかりませんが、いずれにせよ、実績ベースではすばらしい決算だったことは間違いありません。今後の業績の“いきなり”拡大に期待が集まっています。

要因2:「いきなり!ステーキ」全米での展開に期待

ステーキ店がひしめく本場ニューヨークに、2017年2月23日、いきなりステーキ海外一号店がオープンしました。そして驚いたのが、通常、海外展開する際にはお店や商品を現地の好みに合わせるところを、ほぼローカライズなしで勝負したところです。

つまり、いきなりステーキの特徴である、立ち食い(ニューヨーカーは立ち食いなどしない)、レア食を勧める(ニューヨーカーはウェルダンが好み)、グラムでの量り売り(アメリカはポンドかオンス)をそのまま持ち込み、さらに日本同様チップも廃止しました。

郷に入っては郷に従わず、セオリー無視のやり方に失敗が危ぶまれたのですが、これが連日の大盛況。よいものを安く早くという需要は先進国共通のようで、アメリカ版食べログともいえる「Yelp」の評価も上々、「J-STEAK」として人気が出ているそうです。

また、ホームページに公開されている同社の「社内報」には、いきなりステーキアメリカ進出に対する一瀬社長の並々ならぬ想いがつづられています。

※ペッパーフードサービス社内報第240号(2017年4月20日発行)

以下に内容を抜粋してご紹介します。

・年内に10店舗開店、3年後NYナスダック上場を目指す
・すでにチェルシーに2店舗目が決まっている
・米メディアに「世界一のステーキチェーン」と紹介された
・安倍総理、米国大使、小池都知事に自社を紹介する手紙を書いた

本当にすごい社長さんです。株価はNY開店の2月末より上がり始めているので、株式市場も期待しているのは明白です。

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