はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナー(FP)が答えるFPの相談シリーズ。今回はプロのFPとして活躍する深野康彦氏がお答えします。

そろそろ投資を始めたいと思っています。まずは証券会社の口座を開こうと調べてみたのですが「どの会社にしよう?」と迷ってしまい、なかなか前に進めません。証券会社はどう選べばよいのでしょうか? 今はネット証券を考えていますが、初心者はそうではない証券会社のほうが相談ができてよいのでしょうか。また、NISAでも選び方は同じですか?
(30代後半、独身、女性)


深野: 証券会社は大きく分けて対面型とネット証券の2つがあります。対面型の証券会社は担当者がつくこともあり、窓口や電話などで相談することができるメリットがあります。ただし、その分手数料は高く、営業の電話などが煩わしいという人もいるでしょう。

一方のネット証券は、郵送やネット上のやり取りで口座開設から取引までが可能で、わざわざ店舗に行く手間もなく、また営業の電話などの煩わしさもありませんが、なんでも自分で調べて対応しなければなりません。

どちらも一長一短があるようにみえますが、私は投資初心者であってもネット証券のほうがよいと考えます。それは証券会社の営業担当者のアドバイスが必ずしも役立つとは限らないからです。

営業担当者は推奨銘柄や企業の情報などを教えてくれますが、だからといってそれが利益につながるわけではありません。むしろ初心者の場合、そのような情報に基づく個別の銘柄選択よりもインデックスファンドを使った低コストの運用のほうが高い成果を出せる可能性が高いのです。

リターンを上げるための確実な方法は?

投資のリターンを上げるための最も確実な方法はコストを下げることです。ネット証券で取り扱っている投資信託の多くは販売手数料がかからない「ノーロードファンド」と呼ばれるものです。そのなかにはインデックスファンドも多く含まれます。

インデックスファンドにかかる信託報酬は、アクティブファンドの半分以下ということも珍しくありません。つまり、ネット証券でインデックスファンドを使って資産運用すれば、販売手数料や信託報酬を低くすることができるのです。

長期で運用する場合、このような運用コストが馬鹿になりません。例えば、年間管理コストが1%違えば、10年では10%の差になります。0.1%の差であっても毎年累積していきますから、その差は金額にすると無視できないものになるのです。

アドバイスが得られないことに不安を感じる方は、ネット証券が開催しているセミナーや勉強会に参加してみるのもよいでしょう。ネット上で視聴できるものも増えているので、地方にお住まいの方や時間のない人でも気軽に参加できます。

初心者向け投資法の王道は?

このような資産運用の方法は、NISAを使った資産運用を考えている方でも同じです。NISAには、利益が出た時に一定の元本金額まで非課税になるという特徴がありますが、だからといって運用方法を変える必要はありません。

投資をこれから始める人は、ネット証券でNISAを使うのがよいでしょう。低コストのインデックスファンドを積立てて資産形成。これが王道です。

今後のアクションプランは、まず自分が気になるネット証券の口座開設キットを取り寄せ、気に入ったところに口座開設をすること。やっているうちに段々と不安が解消されていくと思います。

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