はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は内藤忍氏がお答えします。

勤務先で確定拠出年金制度が導入されています。拠出開始時に決めたポートフォリオのままで4年ほど運用していましたが、このたびNISA口座を開設したので、この2つを合わせてアセットアロケーションとポートフォリオを考え直したいと思っています。現在、確定拠出年金の資産評価額は70万円ほどで、現在は毎月約1万5,000円を拠出しています。今の資産のほとんどは、この70万円を除いて預貯金です。一方、NISA口座へは、毎月約4万円を積み立てていくつもりです。


アセットアロケーションを考えて運用していくにあたっての考え方でご相談です


1.都度、その時点での総資産を全体として各資産クラスに配分すべきでしょうか。
2.それとも月々の投資額を全体として配分すべきでしょうか。
3.あるいは確定拠出年金とNISA口座を切り分けてそれぞれで考えるべきでしょうか。


総資産を全体として考えるべきかと思いますが、確定拠出年金とNISA口座のバランスが変わっていくなかでのリバランスを考えると運用ハードルがかなり高そうで躊躇してしまいます。アドバイスをいただけますでしょうか。
(20代後半 既婚・子供なし 男性)


内藤: 結論から申し上げると、総資産全体をまとめて管理すべきです。

なぜなら確定拠出年金もNISAも口座の違いは税金の取り扱いだけで運用する資産対象は同じだからです。もしNISA以外にも、特定口座や一般口座を保有している場合は、それもまとめて管理していくことになります。

資産分類のポイント

とはいっても、それほど煩雑なものではありません。まず頻度ですが、口座を合算して資産配分状況をモニタリングするのは、3か月に1度で大丈夫です。

短期のトレーディングではなく、長期の資産形成をするのであれば、日々の値動きに一喜一憂する必要はないからです。

3月、6月、9月、12月の各四半期末に資産の状況を時価で評価して、それを資産クラス毎に分類し比率を計算していきます。私の著書「内藤忍の資産設計塾」では、資産を6つのグループに分類する方法を解説しています。

資産分類のポイントはリスクが把握できるようにしておくことです。

例えば、自分の資産の中の外貨資産がどれくらいかがわかれば、為替の変動で資産がどれくらい動くのかを大まかに知ることができます。

このような比率をコントロールしておけば、どんな商品を組み入れても、安心して資産全体を運用していくことができます。

資産配分の調整は年1リバランス

そして資産配分比率の調整は年に1回のリバランスで行います。

これは下がった資産クラスを買い増し、上がった資産クラスを売却して、比率を本来の状態に戻す作業です。

ただしご質問者のように現状、資産を積立てている方の場合、NISAの積立金額を調整することによって資産の歪みを修正していってもよいでしょう。

例えば、日本株式の比率が目標比率より下がってしまったら、しばらくの間4万円の積立を日本株に集中させ、比率が元に戻ったら、また本来の比率での積立を開始するといった具合です。

モニタリングの回数をむやみに増やさないことと同時に、管理方法を工夫するようにしましょう。

モニタリングの際は、それぞれの資産の価格と保有数量を入力するだけで、資産クラス毎の比率を自動計算できるようにしておけば、管理の手間が省けます。

エクセルのような表計算ソフトを使えば簡単に作成できます。こちらも私の書籍で紹介していますので参考にしてみてください。

長期分散投資の場合、年間の資産運用にかける時間は1時間くらいでも大丈夫です。毎回15分程度で資産の評価と資産配分比率を計算し、資産運用状況を確認するのであれば、年4回で1時間です。

資産運用はできるだけシンプルに時間をかけないようにして、空いた時間を自分のために有効活用しましょう。

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