はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は内藤忍氏がお答えします。

昨年、海外に赴任することになり、現在は海外で生活中。家族も夏頃には合流し、日本には3、4年後に帰る予定です。これを機に現状について振り返り、帰国後には不動産投資を追加しようと考えております。今後の資産運用についてアドバイスいただけると幸いです。


【現在の状況】
家族:妻、子ども3人(高校生・中学生・幼稚園)
世帯年収:1,000万円程度(私900万円・妻100万円)
<預金>
・定期預金500万円
<太陽光発電>
・3,000万円の太陽光発電施設をフルローンで購入(15年返済、残債2,500万円)
・77kwの発電システムを構築
・売電価格42円の時に契約
・今年で3年目
<不動産投資>
・新築アパート4部屋を1棟買い
・3,500万円をフルローンで購入
・昨年より開始、現在満室
・ローン金利1.9%
・表面利回り8%
<自宅>
・一戸建て。築10年、簡単な見積もりを取ったらおよそ3,000万円の価値
・住宅ローンは残債2,000万円、返済完了まであと15年
(40代後半 既婚・子供3人 男性)


内藤: ご質問ありがとうございます。

信頼できるパートナー探しを

海外赴任中ということで、最初に確認していただきたいのは保有している資産の管理体制です。

想定外のトラブルが起こった際にも、信頼して対応を任せられる日本のパートナーを探しておくようにしてください。具体的には管理会社や保険などを見直しておくことです。

今後、ご家族も海外に移られるとの記載があり、事務処理なども気軽にできなくなる可能性があるため、しっかりと確認を行ってください。

また、不動産投資は海外駐在になると非居住者扱いとなり、国内の金融機関から融資を受けられなくなります。

リスク資産の比率が高くなっていますので、当面は購入物件のローン返済を優先して残債を減らし、将来の融資枠を広げられるように注力されるとよいでしょう。

できるだけストレスがかからない方法を

資産配分で気になったのは、外貨資産が少ない点です。

為替の見通しに対し、極めて強い円高を想定されているのであれば問題ありませんが、海外赴任することも合わせて考えれば、外貨の比率は最低でも50%程度まで高めておいたほうがよいと思います。

ローンを勘案した現状の資産は、自宅ローンとの差額である約1,000万円と太陽光の残債を考慮した500万円、定期預金の500万円を合計した2,000万円がネット金額になります。

定期預金がすべて外貨資産に振り向けられたとしても、まだ外貨資産比率は25%ですので、決して高いとは言えません。

定期預金に入っている500万円と、海外赴任中に入ってくる収入から外貨投資を本格的に始められるとよいかと思います。あまり金額が大きくないので、投資対象は金融資産を中心に考えることになるでしょう。

また、こちらも海外赴任中は国内証券会社の取引ができなくなるので、海外の証券会社で口座開設し、低コストのインデックスファンドや海外ETFなどを組み合わせて投資されるのがオーソドックスな方法になります。

海外在住中は、国内居住時よりも資産運用に制約が生まれます。できるだけストレスがかからない資産運用の方法を考えていきましょう。

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