2017.08.3

フリーのエンジニア、法人化するメリットはありますか?

FPの家計相談シリーズ

フリーのエンジニア、法人化するメリットはありますか?

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は野瀬大樹氏がお答えします。


去年からフリーランスのエンジニアをしています。今年のはじめに、個人事業主として青色申告の申請もしました。そのようななか、毎月90万円程の売上があがってきたのですが、法人化するにあたって、どのようなことを考えるべきでしょうか。

家族はまだいません。家で主に仕事をしていますが、認められる経費の範囲が広がるのかなど、いまいちわかっていません。法人化すると信用力があがるというのもあるらしいのですが、今受けている仕事はすべて知人経由の紹介で、このメリットはあまり感じていません。また起業して、ぐんぐん大きく、というマインドでもないことがネックとなっています。
(20代後半 独身 男性)

野瀬:独立して1年経たずに売上が月90万円……というのは正直すごいと思います。まずはおめでとうございます。

いろいろ経費を引くので丸々90万円が儲けにはならないと思いますが、これはなかなかの数字だと思います。

税金面で考える法人化したときのメリット

さて、商売が儲かりだすと気になるのが「税金」です。特に質問者の方のように急速に儲けが拡大した場合は「法人にするか、個人事業で進めるか」は気になるところです。

一応、法人になることのメリットを書きだしておきましょう。

(1)税率がお得

個人事業の場合、かかってくるのは個人所得税です。この税率は5~45%で、これに住民税も加わりますので、実質的な負担は15~55%です。

質問者の方の場合だと、住民税や事業税を合わせた「実効税率」は所得が800万円までの場合は28%程度、それ以上の部分は34%程度になります。

こう考えると、わかりやすいですよね。所得が少ないうちは個人所得税のほうが税率は低いのですが、所得がどれだけ大きくなっても税率は34%程度なので、法人のほうがお得ということになります。

(2)消費税を2年間納める必要がない

法人の場合、設立後2年は消費税を納税しないということが可能となります。個人事業主だと年間課税対象売上が1,000万円を超えると、その2年後から納税義務が生じます。

ですから、消費税の面を考えると法人化することで、言葉は悪いですが2年間だけ「消費税分がお得」になります。“消費税はもらえるのに納税義務がない状態”ということになります。

売上1,000万円以上のなら法人化を視野に

ほかにも「信用が増す」「社会保険がお得」などのメリットはいろいろあるのですが、質問内容を拝見するに、あまり急速に事業を組織化するということでもなく、ご家族もまだおられないようなので、主なものはこれくらいでしょうか。

結論としては、相談者の方の場合は法人化を検討したほうがいいと思われます。

順調に売上があがっていますし、エンジニアという職種である以上、あまり経費はかかっていないと思われます。売上が1,000万円と考えても、課税所得は500万円を超えているのではないでしょうか?

そうなると(1)の税率面から考えても、法人化の準備は進めておいたほうがよさそうです。

また(2)の消費税の面からも、法人化したほうが2年間消費税分がお得になります。もし今年の確定申告で売上が1,000万円を超えるようでしたら、2年後から消費税の納税義務が生じます。

法人化するデメリットとして「儲かっていなくても最低7万円程度の納税が必要」などもあるのですが、順調に売り上げがあがっている今の状態ですと、そのデメリットも顕在化はしないと思われます。

今年の売上がいくらになるかをにらみながら、もう少し売上が増える1~2年後のタイミングで法人化を検討するとよいでしょう。

自宅作業なら家賃は経費にできる?

また、ご質問にもあった「経費にできる」ものの範囲ですが、法人のほうが経費にできる範囲は広い……といわれています。

ただ、「法人だと家賃が経費にできる」といわれることがありますが、それは自宅を社宅扱いにした場合や、自宅の一部をオフィスとして法人に貸し出したケースのことです。

お得なようにも思われますが、社宅といっても常識の範囲内の家賃設定である必要がありますし、自宅家賃の一部を経費にすることは個人事業でも可能です。

また、質問者の方の場合、友人からの仕事が多いとおうかがいしておりますので、気になるのは交際費です。

個人事業主だと交際費は原則すべて経費にすることができますが、法人の場合は一定額の縛りがあり、うち10%は経費にすることはできません。

あまりないとは思いますが、仕事のために友人の方と食事に行くような機会が多く、夜の繁華街で年間数百万の交際費がかかる場合(笑)であれば、法人にすると少し税金が重たくなります。

Card Stocks

連載・特集

Ranking

Pick Up

Keyword

Authors