はじめに

いかなる達人も、初めは素人同然。今は順当に資産を築いている投資家も、かつてはリスクに怯え、やり方に不安を覚え、試行錯誤の果てにスタイルを確立していったはず。そんな彼らの「ビギナー時代」の話は、これから投資を始める人にとって大いに参考になるだろう。

そこで著名なインデックス投資ブロガーにインタビュー。投資のきっかけから現在の投資スタイル、そこにたどり着くまでの経緯などを聞いた。

今回お話を聞いたのは、普段は会社員の虫とり小僧さん。趣味は筋トレとのこと。


保険会社の売り込みが、投資のきっかけに

お話をうかがったのは「虫とり小僧」さん。ブログ「いつか子供に伝えたいお金の話」を運営する、人気の投資ブロガーだ。プロの投資家でもなく、経済学者でもない、身近、かつ、わかりやすいやり方で資産を築いている個人投資家の経験談にこそ、ビギナーが参考にすべき点は多いはずだ。

まずは、投資を始めたきっかけから教えてもらった。

「始めたのは12年前。26歳のときですね。保険の営業マンから勧められた終身保険の『運用の仕組み』に興味を持ち、いろいろ調べ始めたのが投資に興味を持ったきっかけです。その保険は、30年後に掛け金が120%程度になって受け取れる設計でした。どうしてそんなことができるんだろう? 保険会社はどうやってお金を増やしているんだろう? そんな疑問からスタートしましたね」

――調べていくうちに、自分で運用してみたいと思うようになった?

「じゃあ、もし自分が30年前に投資を始めていたらどうなっていたのか、と。そこで、先進国の株式市場の平均株価指数(MSCIコクサイ・インデックス)の過去データを見てみると、30年間で約10倍(1000%)に増えていたんです。同時に、ほぼ平均値をそのまま買うインデックス投資というやり方があることも知って。これなら手数料を払って保険会社に任せるのではなく、自分で運用したほうが得だなと思いました」

――では、最初からインデックス投資一本だったのでしょうか?

「インデックス投資に確信めいたものはあったのですが、もっといい方法があるんじゃないかと思って、最初は個別株なども購入しました。ただ、軸はインデックスの積み立てで行こうと決めていましたね。まあ、だんだん個別株に投資するのがめんどくさくなったっていうのもありますが。当時は社会人4年目くらいでしたがコツコツ貯金していたので、最初から当時の年収分くらいのまとまった額をポンと投資しました」

――けっこう大胆ですね。それで、実際に始めてみてどうでしたか?

「当時は小泉改革の後半で、ライブドアショック直後くらい。時期がよかったので何に投資してもわりと調子がよかったんですよ。買ったものが上がると、自分は天才なのかな? って勘違いしちゃうんですよね(笑)。おそらく最初のスタートがよかったから、続けようと思えた。そういう意味ではラッキーだったかもしれません」

リーマンショックで資産が半分に!

お金にまつわる基礎知識や投資に対する自身の考え方などをわかりやすくつづる「いつか子供に伝えたいお金の話」(虫とり小僧さんのブログより)

そのまま2007年頃までは好調をキープ。順調に利益を増やしていったという。だが、その後やや雲行きがアヤしくなる。そして、2008年、リーマンショックを迎え……。

「ズルズルと下がってきたところにリーマンショックがドカンときて、資産が半分以下になりました。ぶったまげましたね。夜中に何度も起きて、NYダウの動きとかをチェックしていました。そのとき、妻も『なんで携帯ずっと見てるの?』と心配していましたよ。まあ、投資云々より浮気を疑ってたみたいですけど(笑)」

――それだけ痛い思いをしても、やめようとは思わなかったですか?

「思わなかったですね。過去のデータを見ても、こういうことは何度もあったわけです。暴落をテーマにした書籍なども読み込んでいて、そのたびに踊らされるのは得策ではないとわかっていましたから。性格的に情報収集や分析が好きで、最初にそうした過去の実例をインプットしておいたから冷静に判断できたのだと思います」

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