駐在残り3年 “海外だからこそできる投資”を始めたい

FPの家計相談シリーズ

駐在残り3年 “海外だからこそできる投資”を始めたい

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は野瀬大樹氏がお答えします。


現在、海外に駐在中です。海外在住でもできるお勧めの投資方法を教えてください。残り任期3年の予定です。また、手元に残しておくべき現金or金額を計算するうえで必要な考え方を教えてください。

【現在の状況】
1.現在の収入金額と、支出の傾向
現在海外駐在中(欧州)で収入・支出が特殊のため、年間貯金額を回答します。
・年間貯金額:300万円/年(残りの任期3年)
2.今後の収入金額と、手取り
・45万円/月+ボーナス手取り240万円/年
今後予測される支出
・子供2人(5歳、2歳)の教育費(中学から私立予定)
3.金融資産
・現金:1,200万円(海外駐在期間中に、1,200万円が2,000万円程になると想定)
・株式:日本株(ETF)150万円、米国株(ETF)100万円相当(ドル建て)
・投資信託:20万円相当(PLN建て)
・現在は、現地銀行口座を開設し、約2万円分の投資信託を積み立て中です。
4.現在の負債(住宅ローン・借金など)
・住宅ローン4,000万円/30年
(変動)0.775%:2,700万円、(固定)1.2%:1,300万円(10年後+1%)
5.保険契約
(1)学資保険(低解約返戻金型保険):15,000円/月×2本(死亡時500万円×2の支払い)
(2)収入保障型:4,000円/月(死亡時20万円/月の支払い)
(3)掛け捨て生命保険:2,000円/月(死亡時1,000万円の支払い)
(4)がん保険:5,000円/月
(5)会社団体生命保険:3,100円/月(死亡時1,000万円の支払い)、
妻:620円/月(200万円の支払い補償)
※保険の利用状況により、毎年1.5~2万円/年の還付あり
(6)会社団体保険(入院・通院):1,800円/月
(30代前半 既婚・子供2人 男性)

野瀬:海外在住時の投資方法についての質問は結構多いです。昨今、海外駐在になる方が多いからでしょうか。

ただし、どちらかというとスタンスは「海外にいながら従来の投資を続ける」というよりは、「海外にいるからこそできる投資をしたい」という要望が多いように思います。

日本国内の投資は難しい、だから現地に注目

基本的に日本から住所を抜いた人は、日本国内の証券会社で株式取引をすることは難しいです。

証券会社によっては口座の閉鎖をお願いされることもありますし、そうでなくても取引自体を凍結する場合もあります。

また、不動産投資をするにも、日本に頻繁に帰れないので現地を見ることもできませんし、そもそも不動産の「相場」というのはその場にいるからこそ感じられるものなので、日本にいない以上不動産投資にも不利だと思います。

そのため、前述のように「海外にいるからこそできる投資」に意識が向くのかもしれません。

ただ、ネット証券全盛のこの時代、「気づかずに」投資を続けている方が多いのが事実です。もちろんこれはルール違反なのですが、ネット証券だと世界のどこにいても投資できてしまいますからね(笑)

“海外にいるからこそできる投資”とは?

さて、そんな「海外にいるからこそできる投資」ですが、国それぞれの事情がありますので、一概にこれ! とはいえません。質問者様は欧州駐在と聞いていますが、欧州でも東欧と西欧では金利も違います。

また重要なのは、国によっては、いざ日本でお金を使いたいと思っても、そもそも海外送金に規制がある国もあるからです。

そんななかでも考えられる投資なのですが、結論から言いますと、わずか数年の駐在期間で目に見える成果を出す形での投資は少し難しいかと思います。

言葉も習慣も違う国で、その国の経済や投資環境を理解するのは難しいことです。私も普段よく感じるのですが、特に駐在員の方というのは現地の社会で生きるのではなく現地日本人社会で生きるのが通常です。

そうなると自分自身は「現地にいる」と思っても、実際は思ったように現地の情報は吸収できていないのが実情です。

まず「現地の口座をつくること」から

では、そんななかでも長期的に何か投資のきっかけをつくりたい、ということであれば、まず「銀行口座と証券口座をつくる」ということから始めてみましょう。

私もインドを中心にアジア各地で仕事をしているのですが、実は個人の方から「新興国で銀行口座・証券口座を開きたい」という要望は非常に多いです。

新興国は基本的に金利が高いうえに、将来的にはその国の経済が強くなるにしたがって通貨も強くなることを期待しているようです。しかし、実際はこれがなかなかハードルが高いのです。

香港やシンガポールのような特殊な国なら比較的簡単なのですが、これが途上国になると現地に居住しないと口座を開けないケースが多いからです。

つまり質問者様のように、仕事の関係ですんなり銀行の口座を開けるというのは非常に恵まれているともいえます。証券口座も開くことができればなおさらです。

私がよくいるインドでは駐在員の方がインドルピーでたくさんお給料をもらっているのですが、特に使い道もないので預金口座に塩漬けになっているのが現実です。

証券口座を開くこともできるのですが、実践している人を私は聞いたことがありません。「インドで口座を持ちたい」という人は山ほどいるのに現地在住の人はあまりその恵まれた環境に気づかない、不思議な話ですね。

外国通貨での投資はレートの動きに注意

では実際に口座を開いたとして、具体的にどのような投資がよいかというと、個人的には「定期預金」と「投資信託」ということになります。

前者は日本に比べ金利が高いから、後者は現物株を買うほど現地の経済・企業を理解するのは、わずか数年の駐在期間では難しいと思うからです。

海外で不動産投資を考えられる方も多いですが、私は海外での不動産投資には否定的です。土地勘というものは、わずか数年では生まれないものですし、いずれ帰国するのであれば管理やチェックができなくなるからです。

また、不動産投資のリターンは株や投資信託のように源泉徴収システムが基本的にはないため、最終的に売却したときに外国で税務申告をする必要性が出てくる可能性があり、実務上も煩雑になります。

質問者様の場合、外国通貨での投資になる以上、それを円やドルなど他の通貨に変えるタイミングも非常に重要です。あと3年の駐在とおうかがいしておりますので、その期間で為替レートが大きく動くタイミングは何度もあると思います。

毎月定期的に日本に送金などするのではなく、せっかく現地にいるのですから3年間でじっくり為替を見て、大きな動きがあったタイミングで円やドルに変えるのがよいでしょう。海外資産はドルベースだと10%以上変わりますので、注意して計画的にドル転、円転をしてください。

現金と投資の理想的なバランスは?

次に、現金や預金として持つ比率と投資に回す比率の考え方です。

これは個人の投資ポリシーにもよりますが、参考までに私の考え方を。質問者様の場合、お子さんはお二人いるのですが、正社員で比較的お給料もよい会社にお勤めであり、かつ保険もある程度しっかり加入されていますのでリスクはある程度許容できる状態だと思います。

住宅ローンもおそらく団信に加入済でしょうから、リスクヘッジはできていると思います。

そんな状態の質問者様の場合、現在家も購入したあとで、現金預金が1,200万円、株や投資信託などが270万円となっています。比率は8割現預金、2割投資となります。

一見、現預金の割合が多いようにも見えますが、現在は日本株と不動産が割高感が大きいのと、今後はリスク資産である外貨預金が自然に増えることを考えると、今の比率で大きな問題はないと思います。

比率は6:4ぐらいに落ち着くでしょう。不動産も持っていますが、おそらく投資を見越してではなく実需なのでここではカウントしません。

基本的に円預金と投資(外貨含む)の比率は、景気が回復している段階では4:6、景気の後退局面では6:4としているのが私の投資スタイルです。

「ちょっと預金比率が高いのでは?」という意見もあるかもしれませんが、預金というものは「これだ!」と思う投資やビジネスの話があったときにすぐに繰り出せる私たちの手札なので、これぐらいは維持しておいたほうがよいでしょう。

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