はじめに

今、世界で急速に拡大し、タクシーの仕事を奪っているライドシェア。Uberがその最大手ですが、日本ではその進出が規制されています。営業許可のない自家用車に人を乗せて希望の場所に連れて行く行為は日本では“白タク”と呼ばれ禁止されています。Uberはそれと同じだという理由で日本市場では浸透できないのです。

「そのため日本ではライドシェアのビジネスチャンスはない」とばかり思っていたら、意外なところからライドシェアの拡大が起き、日本にもその普及が始まっていることがわかりました。

それが物流版のライドシェアです。どんな企業がなにを始めているのか、状況をまとめてみましょう。


物流のライドシェアに参画する住友商事

まず住友商事がアメリカでトランスフィックスというシェアリングサービスの会社に出資したというニュースがあります。この会社は日用品メーカー・ユニリーバの物流を担当する会社ですが、その傍らで物流版のライドシェアビジネスを開始したようです。

その仕組みはUberと同じ。ただし運ぶのは人間ではなく荷物です。2万5,000人のトラック運転手が登録していて、荷主が荷物を送りたい場合には空きがあるトラック運転手を探してくれます。

このように空いている運転手やトラックをつなげることで運送料金が通常よりも最大3割も安くなるということで、輸送量も急拡大しているといいます。

住友商事のような総合商社は物流のノウハウが豊富です。その住商がトランスフィックスに資本参加する背景には、アメリカ以外での物流ビジネス展開の狙いがあります。

物流版のライドシェアのビジネスモデルがアメリカで確立し次第、すでにUberが拡がっているアジア各国にも展開する。それによって物流版ライドシェアで一歩先を行くことを狙っているわけです。

日本でも同じビジネスを展開する運送会社が

そして日本にもライドシェアをはじめる物流会社が出始めています。ベンチャー企業のシービークラウド(CBcloud)はアメリカのトランスフィックスと同様のサービスを始め、現在、1万6,000人のトラック運転手が登録しているそうです。

これは「PickGo」というサービスで、従来はプロの荷主の間だけで利用するサービスだったのですが、これを個人需要でも利用可能にすることにしたといいます。つまり物流業者のトラックが空いているタイミングであれば、個人も安く物を運ぶことができるわけです。

宅配便では送りにくいサイズや量の荷物をまとめて送りたいといった、これまでの宅配便や赤帽ではカバーしきれなかった需要を喚起することができるかもしれません。

同じビジネスで先行する会社にはラクスルがあります。こちらはサービスの対象となる地域を、これまでの首都圏から関西圏にまで拡大しましした。

でもなぜ、物流業界にはこのようなニーズがあるのでしょうか?

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