はじめに

7月、8月は、夏休みにお盆休みにと仕事から離れてのんびりできる時期ですね。のんびりした日々を過ごしていると、「早く仕事を辞めて、あとは好きなことをして日々過ごすのもいいなぁ」と思ってしまう人も多いのではないでしょうか。

とはいえ、現実は少子高齢化が進み、お給料も右肩上がりにはならない時代。本当に早く仕事を辞めることができるのでしょうか?


人生100年時代を迎え、よりお金が必要な時代に

早期退職をして、仕事に追われず、日々楽しく過ごす――そんな生活に憧れを持つ人も少なくないことでしょう。

私のところには、30代、40代の女性の方が相談にいらっしゃることが多いのですが、早期退職の夢を抱いている人は少なくありません。では、実際に可能なのでしょうか?

現実問題でいうと、今後、女性はますます長生きする傾向にあり、平均寿命が100歳を超えることも珍しくない世の中になります。先日、30歳の女性の方が「50歳でリタイアしたい」とご相談に来ましたが、もし本当に夢を叶えるとなると、かなりまとまった金額を貯める必要があります。

どのような老後の生活を望んでいるかにもよりますが、例えば、現在の高齢者の生活を参考に考えると、60歳以上の高齢世帯夫婦2人の年金収入の平均は21.3万円。それに対して支出平均は26.8万円になります。

あるデータによると、日本人女性の平均寿命は近い将来、90.13歳になるとのこと。仮に90歳まで生きると仮定し、年金だけで暮らそうと思うと、不足する金額は約1,700万円に。これに1人あたり500万円の介護費用(2人で1,000万円)が加わると2,700万円程度は必要です。

50歳で仕事を辞めるには8,300万円が必要!?

ただし、これは65歳で仕事を辞めた場合。仮に50歳で仕事を辞める場合、50歳から年金を受給できる65歳までの“無年金期間”の生活費をプラスしておく必要があります。

仮に毎月の生活費が20万円だとすると、「20万円×12ヶ月×15年間=3,600万円」を準備する必要があります。先ほどの65歳から必要な金額2,700万円と合わせると、6,300万円となります。

ちなみに私たちが年金を受給する頃には少子高齢化が加速し、現在の年金受給額の6割〜7割になるといわれています。そうすると、6,300万円に、さらに2,000万円程度がプラスになり、8,300万円程度が必要となる計算に。

50歳でリタイアしようと思うと、現実はなかなか厳しいことがおわかりいただけたでしょうか。

目標達成のためには毎月15万円を年利7%で運用

現在30歳の人が50歳までに、この金額を貯めようとした場合、例えば、手取り給料30万円の半分である15万円を21年間、年利7%で積み立て運用できると、約8,500万円になります。

つまり、これからの時代、完全に早期リタイアするというのは、よほどの投資家か、事業で成功するか、資産家でないと難しいのが現状です。

長生き時代に備えるためには、長期的に安定して働くことが大切なのです。

とはいえ、今と同じペースでずっと働き続けることは難しいのもわかります。ですから、40代までは週5でバリバリ働き、50代からは週に2日〜3日働くといった具合に、働き方を柔軟に変えられるような仕事のスキルを持っていることが大切です。自分だけにしかない知識や技術があれば、働き方を調整してもニーズはあります。

高度な仕事のスキルがあれば、日本にこだわらず海外でも働くことができるので、選択肢はぐっと広がるでしょう。今はインターネットも発達しています。枠にとらわれず、さまざまな視点から考えてみましょう。

執筆:高山一恵(株式会社Money&You 取締役)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)。DC(確定拠出年金)プランナー。東京都出身。慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性向けFPオフィス、株式会社エフピーウーマンを創業。10年間取締役を務めた後、株式会社Money&Youの取締役に就任。全国での講演活動をはじめ、執筆・マネー相談など、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。『パートナーに左右されない自分軸足マネープラン』(日本法令)、『35歳までにはぜったい知っておきたいお金のきほん』(アスペクト)、『史上最強のFP2級AFPテキスト』『史上最強のFP3級テキスト』(ナツメ社:監修)など、お金の分野での著書多数。

(記事提供:Mocha

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