はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は内藤忍氏がお答えします。

新しく入社した会社に確定拠出型年金制度があり、加入しています。毎月会社が5,000円、給与から5,000円を出し、運用をしています。ただ、加入している会社の制度では、通常の投資に比べて非常に選択肢が少なく、運用をはじめて数ヶ月ですが若干元本割れの状態です。自己資金を確定拠出年金に回すのはやめて、選択肢の多い自己運用にしたほうがいいのか迷っています。選択している運用項目は以下の通りになります。

・ライフプランファンド
・国内バリュー株式
・外国株式インデックス
・国内株式インデックス
・海外債券

確定拠出年金を自分で運用するメリットとデメリットをお教えください。
(30代後半 既婚・子供1人 男性)


内藤 :ご指摘のように、確定拠出年金には商品の選択肢が限定されているという欠点があります。その一方で税制面では優遇されており、上手に活用する方法を考えたほうがよいでしょう。

投資対象だけではなく、運用方法やコストを確認

まず、ご自身が加入している確定拠出年金の取り扱い商品一覧から、どんな投資対象にどのような商品が用意されているかを確認します。

日本株なのか先進国株なのかといった投資対象だけではなく、運用の手法がアクティブなのか、インデックスなのか。さらに、年間の管理コストにあたる信託報酬についても確認をしていきます。

そのうえで、アクティブファンドに関しては、運用商品として価値があると判断できるものがあれば組み入れを行い、それ以外はできるだけ低コストのインデックスファンドを選択するようにします。

日本株を例に取ると、一般のTOPIXに連動するインデックスファンドの信託報酬は0.4%程度ですから、同程度のインデックスファンドがラインナップされていればそちらを選択しても問題ありません。

ほかの資産と合わせて配分比率のボリュームを調整する

もし、通常のインデックスファンドに比べて信託報酬の高いファンドしかラインナップになければ、その商品を購入する必要はありません。自己資金の運用金額を合わせて調整していけばよいのです。

例えば、先進国の株式に投資するファンドが、アクティブファンドでいいものがなく、インデックスファンドもコストが高いものしかないとしたら、確定拠出年金では先進国の株式は投資しなくてもよいでしょう。

その代わり、自己資金での投資のなかの先進国株式の比率を高めて、全体での資産配分比率のボリュームを調整するのです。

私も確定拠出年金で運用していたときは、日本株と先進国株の低コストのインデックスファンドだけを選択し、残りの債券やREITなどへの投資は自分の資産を振り向けることで対応していました。債券やREITのよいファンドがなかったので、それらに対しては自分で選んで対応することにしたからです。

確定拠出年金と自分の資金による運用は、合わせて管理する必要があります。2つの残高を合計して、資産配分比率が自分の目標と一致するように調整するのが合理的な運用方法になります。

以下のような流れで進めてみてください。

(1)自社の確定拠出年金のラインナップをチェック
(2)活用できる商品をピックアップ
(3)足りない商品は自分の資産運用でバランスさせる
(4)確定拠出年金と自分の資金の合計で資産配分を定期的に管理

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