「税金が高い…」と嘆く前に知りたい会社員の“節税術”

FPの家計相談シリーズ

「税金が高い…」と嘆く前に知りたい会社員の“節税術”

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は野瀬大樹氏がお答えします。


会社員ですが、少し副業をしています。税金対策として確定申告を検討していますが、どのように行ったらよいでしょうか? ほか税金対策によいものはありますか?
(30代前半 独身 女性)

野瀬:ご質問ありがとうございます。

会社員でもできる税金対策

会社員でもできる税金対策はレベルに応じてさまざまな種類のものがあります。

レベル1(簡単):医療費控除・住宅ローン控除など

12月の年末調整の際に生命保険の控除証明書を提出するのはよくある光景ですが、1年間に10万円を超える医療費を払った場合は確定申告によって税金を減らすことができます。

この10万円には、家族分の医療費や病院への交通費も含みますので、ハードルは意外に低いです。基本的に領収書が必要となりますが、バスなど領収書が出ないものについてはメモでも構いません。

また、住宅ローン控除も金額的には非常に大きな節税ですが、手続きを忘れてしまうとその恩恵を受けることができませんので、絶対に忘れないようにしてください。

レベル2(普通):特定支出控除

「サラリーマンは経費がつけられない」という嘆きをよく聞きますが、これは半分正解で半分は間違っています。

サラリーマンであっても給与金額からいくらかの経費を差し引いて税金を計算するのですが、自営業とは異なりこの経費を自分で決めることができず、法律によって計算方法が決められているのです。

この決められた経費のことを「給与所得控除」といいます。

では、「サラリーマンはまったく経費をコントロールできないのか?」というと、そうではありません。それが「特定支出控除」という制度です。

特定支出控除は、簡単にいうと「仕事に関係する支出はサラリーマンでも追加的にいくらかは経費として認めますよ」という制度です。ただし、さまざまな条件がありますので以下に重要なものを列挙します。

A)仕事に必要な、交通費・スーツ代・本・資格取得・交際費等であること
B)「給与所得控除」金額の1/2を超える金額部分であること
C)領収書があり、かつ給与を支払っている会社の承認があること

たとえば所得が500万円の人の場合、給与所得控除は定められた計算により154万円になります。この1/2は77万円ですから、(A)の金額が77万円を超えたら、その超過部分を税金計算の経費に加えることができるのです。

たとえば100万円分の領収書を集め、仮に税率が10%だとしたら「(100万円-77万円)×10%=3.3万円」が返ってくることになります。これはうれしいですね。

レベル3(難しい):副業

最後は少しハードルが高いですが、以下の3つの所得は給与と合算して税金を計算するという特徴を使うことができます。

1:不動産
2:事業(つまり副業)
3:山林

山林を持っている方は少ないと思うので、以下では1と2についてお話しします。

「合算する」というのは、たとえば副業の所得がマイナス200で、給与所得が200、税率が10%だった場合、「(200-100)×10%=10」が税額となります。

ただ、サラリーマンの場合は、そもそも給与の200に10%をかけた20の税金を源泉徴収としてすでに差し引かれているので、差額の10を税務署に「返して!」と言えるのです。これがいわゆる「カンプ」ですね。

ただ、これだとそもそも副業の儲けがマイナスなので節税の意味がないと思うかもしれません。

でも、副業で自宅や車、携帯電話を使っているのであれば、その使用割合に応じて自宅家賃・水道光熱費・車の減価償却費・携帯電話代などを副業の経費とすることができます。

副業を始めたばかりの頃は売上も少ないでしょうから、これらの経費を差し引けば赤字になる可能性が高いと思います。そしてこれらはそのほとんどが副業をしてもしなくても払うものです。そのため、自分の財布を痛めずに「カンプ」という節税を行うことができるのです。

副業というと昼間に本業を行い、夜や土日の時間を利用するケースがほとんどだと思います。その際に気を付けるべきなのが会社に「副業規定」があるかどうかです。会社によっては副業を禁止している可能性があるため、従業員規則などをしっかり確認してください。

あと先ほどの副業の恩恵を受けるためには、副業の所得が「事業」だと認められなければなりません。副業を始めた場合には、直ちに税務署に「開業届」を提出してください。

こうすることで副業からの収入が「事業」によるものと認められます。屋号・住所・業種などを簡単に記載するだけですから、手間もかかりません。忘れがちですのでぜひ覚えておいてください。

「白色・青色」申告の違い

確定申告には「白色申告」「青色申告」の2種類があります。

簡単にいいますと「白色申告」は手続きが簡単だけど税務上の特典が少ない、青色申告は手続きがしんどいけれど税務上の特典が多い、というイメージになります。

青色申告の大きなメリットは以下の3つです。

1:損が出た場合、その損を来年以降に繰り越すことができる(つまり来年利益が出た場合に払う税金を少なくすることができる)
2:「10万円×税率」だけ税金を少なくすることができる
3:条件を満たせば家族に給料を払うことができる

そしてこの特典を受けられる青色申告を行う場合、原則として毎年3月15日までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出しないといけません。1年の途中で副業を始めた場合は始めた日から2か月以内に提出する必要があります。

また、白色青色どちらで申告する場合でも、経費に関わる領収書はきちんと保管して集計することです。確定申告間近になって慌てて作業するのは大変ですので、3か月に一度くらい金額を集計するとよいでしょう。

確定申告はこわくない!

では、確定申告をどのように行うか。

「私には無理!」と思うかもしれませんが、そんなに難しい話ではありません。サラリーマンの副業程度であれば、お金を払って税理士に頼むまでもなく自分で申告作業をすることも可能です。

確定申告も今はパソコンを使って申告書を作ることが主流です。国税庁のWebサイトを使って、作成から印刷まで一貫して行うことができます。非常にわかりやすく便利にできているのでぜひ利用してみてください。

それでもわからない点については、無料の相談窓口を利用してはいかがでしょうか? 最近は税務署も大変親切で電話でも窓口でも丁寧に答えてくれますし、毎年2月初旬から3月初旬までの間は税理士による無料相談会を開催しています。こういった無料で相談できる窓口をどんどん活用するのもひとつの作戦ですね。

最後に、所得税については、手前味噌ですが私の著書『自分でできる個人事業主のための青色申告と節税がわかる本』にて優しく会話形式で解説していますので、ご興味ある方はこちらもご参考にしていただければうれしいです。

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