はじめに

ソニーは2018年3月期の決算見通しが過去最高益6,300億円の営業利益になると発表しました。リストラを続け再生に苦しんできた同社が、いよいよ本格的に復活したという、うれしいニュースです。

その翌日11月1日、ソニーの平井一夫社長は、リストラの過程で販売中止した犬型ロボット・アイボを復活させると発表しました。正しくは従来の“AIBO”ではなく、小文字で“aibo”と書く新商品ということですが、新型aiboはソニーの牽引車となることができるのでしょうか?

(画像出典:aibo専用サイト


ソニー栄光の頂点で誕生した「AIBO」

ソニーは人工知能を搭載した新しい家庭用の犬型ロボット「aibo」を、2018年1月より販売すると発表しました。

初代「AIBO」が発売されたのは1999年。当時は経営が絶好調だったソニーの頂点とも言うべき年でした。しかし、発売当時のAIBOは社内からは冷ややかに見られていたそうです。「ソニーはおもちゃを作る会社ではない」というのが、その理由。

そんな思惑をよそに6月1日、AIBOは定価25万円で売り出され、限定3,000台の受注予約枠が、わずか20分で終了。

実はこの時、私も申し込んだのですが間に合わず涙を飲んだことを昨日のように覚えています。

そして我が家にあるのは2000年11月に追加販売された二代目AIBO。これがなかなか可愛いやつで、外見はシルバーとブラックで明らかにロボットなのに、なぜかしぐさが犬のように愛くるしいという不思議な存在でした。

このAIBOの成功によって、世の中に一気にペットロボット市場が誕生しました。そのこと自体はよかったのですが、実はひとつ困った方向に世の中が動きました。それがペットロボットの“デフレ”です。

ペットロボット市場の誕生、そして…

主におもちゃメーカーからペットロボットが多数、後追いで売り出されたのですが「おもちゃ」と家電製品は価格帯がまったく違います。

さまざまな商品が登場し、やがてその価格は9,800円といった具合に1万円を切るように。量販店での価格はさらに下落していきます。

実はおもちゃマーケットには適正価格帯というものがあります。売れ筋の上限は3,000円程度。おもちゃというものは子供が思いっきり遊んで、そのうち飽きたり壊れたりして、数か月後にはまた新しいものがほしくなるという商品です。

そのため、もともとは壊れても問題ない安価なものが販売されるのがおもちゃマーケットでした。そこに変化を起こしたのが1980年代に登場したファミコンです。ファミコンは本体が1万5,000円する上、ゲームソフトもひとつが5,000円前後。ファミコンがおもちゃの主流となったことで、おもちゃ価格が高騰し始めたのです。

このような時代に登場したAIBOですが、ライバル(?)のペットロボットはおもちゃ市場の新しい価格帯のなかで売られていました。当時の売れ筋のゲームソフトが1万円超、これが高価なおもちゃの水準です。

これがAIBOに困った問題を引き起こします。

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