はじめに

アスリートが抱える、お金の不安をなくす――。

CAMPFIREとお金のデザインが、アスリートの人生を応援する共同プロジェクトを発表しました。なぜ今、アスリート支援なのか?

2020年東京オリンピックを控え、熱が高まるスポーツ界。しかし、華やかに見える選手たちが抱えている問題は、外部から想像する以上に深刻なようです。


選手のセカンドキャリア「2つの壁」

11月28日、CAMPFIREとお金のデザインが新プロジェクトを開始しました。挑戦を続けるアスリートを両社のクラウドファンディングと資産運用サービスを使って、資金面からサポートします。

発表会には元陸上選手の為末大さんが登壇。セカンドキャリアを迎えたアスリートに立ちはだかる2つの問題について指摘します。

「1つは、お金の問題。特にアマチュア競技の場合は引退した時にお金がないので、すぐに社会に出て働く必要が出てくる。しかし(競技に没頭してきたので)スキルがなく、難しい」

「もう1つはアイデンティティ喪失の問題。次に自分を何で定義すればよいのかよくわからなくなる人が多い」

 3度オリンピックに出場、男子400メートルハードル日本記録保持者・為末大さん

例えば、記憶に新しいのはプロ野球で大活躍した清原和博選手の事件。ある調査ではアメリカンフットボールの選手は「引退後8割近くが自己破産する」という衝撃的なデータもあります。

これを個々の選手の問題と片付けるのではなく、社会システムとして応援できる環境が必要ではないか。

オリンピックムードに乗って、現在のスポーツ界には補助金や助成金も多く投入されていますが、2020年以降のアスリートにはより自立が求められます。現役・引退と分断されたキャリアではなく、より長期的な視点で幸せな人生を描くためにはどうすればいいのか?

この問題意識はテクノロジーを活用し、「声を上げられない人にお金が集まる世界を作りたい」というCAMPFIRE家入一真代表の想い、「お金の不安を希望に変えることで、 自分らしく挑戦していける人を応援したい」というお金のデザインの理念とも合致します。

そして今回、両社が協調して始めたのがアスリート支援プロジェクトです。

CAMPFIRE×THEOがコラボ

CAMPFIREは特設ページ「アスリート LIFE SUPPORT by CAMPFIRE」から、参加アスリートを公募。

月額支援型クラウドファンディング「ファンクラブ」で支援募集を行う選手に、お金のデザインが運営するロボアドバイザーTHEOの応援パッケージ「THEO for Athletes」を紹介します。

■ CAMPFIRE
・月額支援型クラウドファンディング「ファンクラブ」でアスリートに支援募集


■ お金のデザイン
・「THEO for Athletes」で資金を運用
・最大100万円の活動費を補助
・お金との付き合い方をアドバイスする福利厚生サービス「お金の健康診断」を提供
・社員全員による全力応援
・プログラムでの支援期間は契約後1年間

今回、第一弾の支援アスリートとして紹介されたのは、40歳でJリーガーを目指す安彦考真さん、フリースタイルモトクロスで世界に挑戦する江原大地さん、プロサーファーの関口海璃さんの3名。

40歳でJリーガー“年俸ゼロ円”の意味

その1人、安彦さんは選手・通訳・コーチ・マネジメントなど幅広く日本サッカーに携わってきた立場から現状を打破したいという強い思いを語ります。

「今の選手はクラブに雇われる“サラリーマンJリーガー”としての生き方になっている。そのため、セカンドキャリアがコーチなどしか想像できない。一人ひとりのファン、パワーを可視化することで、ムーブメントを起こしたい」(安彦さん)

40歳の自分が、クラウドファンディングを使って年俸ゼロ円でクラブに雇われない世界初の選手になる。そして、お金の代わりにクラブからは観客席を貰ってファンに提供する。

ファンの可視化で選手が自分の言いたいことを主張できる環境が生まれれば、「セカンドキャリアももっとハッピーになる」と安彦さんは力説します。

また、為末さんは「チャレンジするアスリートを見て、『自分たちも変わらなきゃいけない』とほかの選手の意識が変われば、きっと空気が大きく変化する。これが一番おもしろい」と期待を語りました。

同プロジェクトの参加アスリート(10名)は、12月1日から3月31日まで公募中。新たにどんな挑戦が生まれるのか。今後、“灯る火”からも目が離せません。

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