はじめに

上昇志向がある人ほど、自分のスキルを頼みにした「実力主義」に走りがちです。しかし、エグゼクティブと呼ばれる本当に優秀な人たちは、ただ「仕事ができる」だけではなく、同僚や部下との「コミュニケーション」を重視しているといいます。

外資のスーパーエリートが大切にする意外と誰もやっていない「コミュニケーション」の基本』では、多岐にわたる業種でエグゼクティブのサポートをしてきた著者の伊藤まみさんが、彼らに共通するコミュニケーション術を紹介しています。


解雇された本当の理由

伊藤さんが東京の外資系企業でアメリカ人上司の秘書をしていた頃、ヨーロッパ地域のトップ役員が解雇されることになりました。その理由は「予算未達」だったのですが、伊藤さんの上司は「本当の理由」は別にあることを教えてくれました。

実は、ヨーロッパ地域の予算達成率は93%。それに対して伊藤さんの上司が担当していたアジア地域は62%。数字だけを見れば解雇されるのは伊藤さんの上司であってもおかしくありません。ところが、解雇された役員は優秀な人材ではあったもののワンマンタイプで、多くの人を敵に回し、周りにサポートしてくれる人がいなかったのです。

こうした出来事から、結果重視の外資系企業においても「コミュニケーション力」は「仕事力」以上に大切だと感じたのだといいます。

エグゼクティブのポジションで長く活躍できている人はどういう人たちなのかというと、「コミュニケーション術+仕事の効率化」に優れている人たちです。結果や数字だけでは絶対に補えない、周りからの信頼を日々積み重ねていくことが、実は一番大事なことなのです。(プロローグより引用)

たった一言でコミュニケーションが深まる

さまざまな人たちと関わり合い、つねに忙しいエグゼクティブには、部下や同僚、取引相手とのコミュニケーションに割ける時間も限られています。彼らはどのようなコミュニケーションを心がけているのでしょうか?

たとえば、エグゼクティブは必ずコミュニケーションの最後に「ありがとう」という言葉で会話を完結させているといいます。

上司「ここ手直ししてくれる?」
部下「わかりました」
上司「ありがとう!」

部下からすれば、仕事だから引き受けるのは当たり前です。しかし、感謝の言葉を言われると、爽やかなやりとりになり、言われたほうも嬉しいものです。

エグゼクティブが実践するコミュニケーションの一つひとつは、やろうと思えば誰にでもできることです。しかし、それを他の誰よりも多く、確実に行うことが大切なのです。

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