女性読者限定「iDeCo&つみたてNISA 運用商品の選び方講座」開催!
2018.01.18

広がるスマホ決済「LINEペイ」、日本企業に対抗策は?

PCやスマホの“二の舞”になるのか

広がるスマホ決済「LINEペイ」、日本企業に対抗策は?

LINEペイで支払いのできる店舗が増え始めています。LINEペイは、電子マネーの次に来る決済手段だといわれている「スマホ決済」という分野のサービスです。

中国では、アリペイとウィーチャットペイの2大決済が普及していて、財布を持たなくても買い物ができる社会が実現されています。米国発のアップルペイやアマゾンペイが世界の決済競争において覇権を握るのではないか、と見る向きもあります。

LINEは日本で上場する企業ではありますが、親会社は韓国企業。パソコン、スマートフォンに続いて決済まで外資に市場を席捲されかねない現状に対して、日本の経済界に焦りはないのでしょうか。


LINEペイのサービス内容が拡充中

LINEペイがローソンに続いて、居酒屋大手のワタミでも1月15日から使えるようになったそうです。LINEペイはスマホ決済分野の新サービスで、ダウンロードしたアプリのQRコード画面を見せれば、お店の支払いができるというサービスです。

このサービスのどこがいいのかというと、飲み会の幹事さんが支払った後で、精算がしやすいことです。LINEでつながっている相手に「はい、3,520円送りました」と言って、簡単にLINEペイでお金をやり取りすることができます。

現金で支払っていたときと比べて、簡単に端数まで対応できますし、お金を集めてみたら足りなくて幹事さんが余計に支払うという負担もなくなります。払っていない人がいたら、送金記録でわかってしまうからです。

もともと少額決済の分野では、米国のペイパルがこのような個人間送金の機能で大企業に成長したこともあり、日本でも同様のサービスが早く出現しないかと期待する声はありました。スマホ決済の時代になって、ようやくLINEペイがこの機能を提供してくれる状況になったのです。

フィンテックで最も熱い決済市場

消費者の観点から見ればLINEペイの普及は良いニュースなのですが、日本経済から見たらどうでしょうか。

米国では、フィンテック分野に巨額の投資が集中していて、IT各社が決済分野で新技術を用いた業界リーダーになろうと、さまざまな分野で競争が高まっています。クレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス(現金ではない支払い手段)比率が40%台まで高まっていることも、その背景にあります。

米国の個人消費支出は年間1,500兆円規模ですから、その40%といえば600兆円。その決済の際にカード会社に入ってくる手数料を3%としても、年間18兆円の収入が発生する計算になります。決済というのは、それだけ巨大な市場なわけです。

従来、この市場はVISA、マスターカード、アメリカン・エキスプレスの3社の寡占市場でした。ここに新たにスマホ決済という新技術が登場し、アップルペイ、グーグルペイ、アマゾンペイといった新しいプレーヤーが、この市場を虎視眈々と狙っているのです。

同様に中国でも、アリババグループのアリペイとテンセントグループのウィーチャットペイの2大ブランドが、スマホ決済のデファクトスタンダード(実質的な支配者)になっています。

そして、これら米国勢、中国勢の次の狙いは海外市場。日本の決済市場も海外企業に狙われているのです。

今もプラスチックカードが主流の日本

では、狙われる側の日本市場はどうなのでしょうか。日本はもともと現金の利用比率が海外よりも高いという特徴がありました。とはいえ、電子マネーの普及も少しずつ進んでおり、2016年にはカードや電子マネーの決済額の比率は20%まで増えてきたというデータがあります。

ですが、もっぱら利用されているのは旧来型のプラスチックカードが主流、というのが日本の現状です。具体的には、クレジットカードか電子マネー。電子マネーの場合はSuicaのような交通系と、nanaco、楽天Edy、WAONといった流通系の電子マネーが便利に使われているようです。

こうした状況の中で新しいタイプのスマホ決済サービスが普及すると、この市場がごっそり新規プレーヤーに奪われる可能性があります。日本勢は、国内の競合に対しては敏感に反応しているのですが、海外勢の攻勢には無頓着のように見えます。

JR東日本のSuicaは交通の決済の手段として東京メトロや私鉄系のPASMOばかり気にしているし、nanacoはWAONに勝てるかどうかばかり考えているのではないか、ということです。

フィンテックという観点でいえば、日本をリードする三菱UFJニコスもなぜスマホ決済に力を入れないのか不思議ですし、新規プレーヤーとして活躍すべき楽天ペイやリクルートのAirWALLET(エアウォレット)も市場での存在感はいまひとつ。

コップの中の争いに終始している理由

こうした状況に陥っている理由の1つとして考えられるのは、フィンテック分野への本格的な投資規模が数百億円から数千億円に上るということです。現場が数億円規模の予算の中でアプリを開発している限り、LINEペイやアップルペイ、アリペイのような本格的な決済機能は搭載できません。

しかし、肝心の経営陣が数百億円の投資となると、簡単には決断に踏み切れない。メガバンクやセブン&アイ、イオン、楽天、リクルートといった大手企業の経営者の立場になれば、「ここで数百億円の勝負に出るのはリスクがある」という投資判断もあるのだとは思います。

でもそうしているうちに、日本のスマホ決済市場は着々と海外勢に取られていっています。パソコンでもスマホでも市場のリーダーシップを失った日本。決済でもそうなると思うと、いささか寂しく感じます。

とはいえ、JR東日本、セブン&アイ、イオン、楽天、リクルートの5社に関していえば、現在のタイプの電子決済では十分に市場に存在感を持ち得ているのは事実です。この中から、スマホ決済でLINEやアマゾン、グーグルを止める企業が名乗りを上げることを私は強く願っています。

Card Stocks

連載

Ranking

Pick Up

Keyword

Authors