2018.03.31

RIZAPグループのM&A戦略は未来の何に“コミット”?

今度はサンケイリビングを買収

RIZAPグループのM&A戦略は未来の何に“コミット”?

RIZAPグループがM&Aの面でも存在感を高めています。

3月29日には、主婦向けのフリーペーパーである「リビング新聞」を発行するサンケイリビング新聞社の株式を取得し、子会社化することを発表しました。これは、昨年に買収した「ぱど」に続くフリーペーパー紙の買収です。

それ以外にもRIZAPグループはジーンズメイト、マルコ、夢展望のような小売業や、イデアインターナショナル、堀田丸正などのインテリア関連の卸業など、たくさんの上場企業を買収していることも話題になっています。

RIZAPグループは何を狙っているのか、その買収戦略をひも解いてみましょう。


発表翌日の株価は13.8%も上昇

昨年、フリーペーパー大手・ぱどを傘下に組み入れたと思っていたら、今度はサンケイリビング新聞社の買収を発表したRIZAPグループ。どちらも主婦層に向けたフリーペーパーに強い会社で、この2社の発行部数を合計すると2,000万部超の配布部数になります。

この発表を受けて、翌30日のRIZAPグループの株価は前日比で13.8%も急上昇しました。市場が今回のM&Aを好感をもって捉えているということでしょう。

同社は、そもそものヒットビジネスであるパーソナルトレーニングジム「RIZAP」の成功をテコに、異業種企業に次々と出資。ビジネスを拡大している印象があります。冒頭で触れた企業のほかにも、SDエンターテイメントのようなゲームやボウリング施設の会社など、異業種の上場企業が次々と傘下に入っています。

RIZAPグループは、何を狙ってM&A戦略を重ねているのでしょうか。実は企業としての成り立ちを考えると、同社の戦略が垣間見えてきます。

設立当初から多角化を進めてきた

同社の始まりは、2003年に東京で設立された「健康コーポレーション」という会社。当初は楽天市場などに出店し、インターネットで健康食品を販売していました。

2006年に札幌証券取引所の新興市場であるアンビシャスに上場すると、「健康」の名を冠する子会社を次々と設立し、多角化経営を目指していきます。健康アグリマリーンゲートなどの食品事業、健康アドという広告企業、健康パートナーズという投資事業などです。

その後、通信販売の商品ラインを拡充するために健康食品、食品、化粧品、そして美容機器などの企業を次々と買収し始めます。買収戦略はこの当時から、RIZAPグループの得意な戦略だったわけです。

同社が現在のような知名度を得るきっかけとなった、パーソナルトレーニングジム事業を手掛けるグローバルメディカル研究所(現RIZAP)が設立されたのは2010年。このビジネスが大々的にブレイクし、グループの経営基盤が分厚くなったことで、M&A戦略も上場企業をターゲットにした大規模なものへと発展していったわけです。

目指すは「自己投資産業グローバルNo.1」

RIZAPグループのM&A戦略には2つの特徴があります。1つは一見関係のないバラバラな事業の買収ですが、そこに「自己投資産業グローバルNo.1」という独自のビジョンがある点です。

パーソナルトレーニングジムのRIZAPは、2ヵ月で30万~40万円はかかるという高額なトレーニングプログラムである一方で、会社としても結果にコミットすることを表明し、そのビフォーとアフターが劇的に違うことを示すCMで大成功しました。

これは会社として結果にコミットする一方で、自分に投資をすることをコミットできる特別な顧客層を事業基盤の中心に据える、という意味でもあります。

RIZAPは高収益で魅力的な中核事業ですが、ビジネスとしては大きな弱点が存在します。結果をきちんと出すためには4~6ヵ月はジムに通う必要があります。そこで結果を出すことができ、しかも結果を出すためのノウハウも顧客はマスターしてしまうので、それで顧客がRIZAPを“卒業”してしまうのです。

この本質的な弱点を補うためにはどうすればいいのか。そこで編み出されたコンセプトが、自己投資ビジネスの世界でナンバーワンになるというコンセプトなのでしょう。

「自己投資をする顧客」をどう生かすか

いったんメタボになってしまったところから一念発起して腹筋が割れるところまで肉体を改造できるのは、それ相応のやり遂げる力を持った人間でなければ成し遂げられません。そして、RIZAPはそれを成し遂げることのできる、世の中では貴重な一握りの人間を顧客として囲い込んでいる、というところに本質的な強みがあります。

だとすれば、そこから先も、それらの顧客に「自己投資のための商品」を販売し続ければ、ビジネスは継続しますし、顧客という“財産”自体が企業としての優位性になるわけです。M&Aとしての投資先の1つ、女性用補正下着の製造販売メーカーであるマルコは、このコンセプトでの相乗効果が一番直感的に理解しやすいかもしれません。

しかし、自己投資ということであれば、自分の体に投資をするだけでなく、自分の生活環境、つまり住宅やインテリアに投資をしたり、自分のファッションに投資をしたりというほうがマーケットは大きい。それが一見バラバラに見える卸売業、小売業へと出資をしている意味合いでしょう。

そしてもう1つ足りなかったパズルのピースが、この自己実現投資のビジョンを消費者に伝えるメディアです。

あくまでステレオタイプなイメージでいえば、世田谷区や神奈川県の武蔵小杉辺りに住む、成功したライフスタイルに憧れている30代、40代の女性客をメインのターゲットに、そのライフスタイルに自己投資を提案していく、というのが中心コンセプトでしょうか。

そのような顧客層にリーチしやすいメディアが、サンケイリビング新聞とぱどが発行するフリーペーパーだったと考えられます。はたして、計画通りにすべてのパズルのピースが連動して動いていけるものかどうか。これからのRIZAPグループに注目していきたいと思います。

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