はじめに

「残念ながら、就任1年目にお恥ずかしい数字となりました。営業利益は昨年を大きく下回り、特別損失22億円を計上し、当期純利益は9.5億円の赤字でご報告させていただきます」

4月11日に開かれた、コンビニ国内4位のミニストップの決算説明会。昨年5月に社長に就任した藤本明裕氏は、こう反省の弁を語りました。

日販(1日当たりの店舗売上高)が前期比1.5%伸びることで、経費の同3%増を吸収するという「楽観的な計画」(藤本社長)に対し、日販が想定を下回り、期中で経費削減に努めたものの、補うには至らなかったというのが藤本社長の説明です。

具体的に、どんな誤算が生じたのでしょうか。そして、今年度はどうやって巻き返しを図るのでしょうか。ミニストップの戦略を掘り下げてみます。


コールドスイーツが大きく負け越し

ミニストップの2018年2月期業績は、売上高が前期比5.1%増の2,069億円、本業の儲けを示す営業利益が同99.1%減の1,000万円で着地しました。期初時点ではそれぞれ2,195億円(同11.4%増)と17億円(同37.0%増)を計画していたので、大幅な未達となりました。

藤本社長が要因として挙げた1つが、天候の影響です。昨年8月の天候不順と、10月に2度にわたって上陸した台風、そして今年1~2月の厳冬によって、客数が前期比2.8%減と落ち込みました。

ただ、苦戦の要因はそれだけではありません。前期業績に対する影響の大きかったものの1つが、ミニストップの得意分野であるコールドスイーツの負け越しです。日販では、前期比1,500円超のマイナスとなり、新聞・雑誌やソフトドリンクを上回る落ち込みになりました。

背景には、もちろん天候不順の影響もあるのですが、それ以上に「前年に発売した商品の改良品が続き、新機軸の商品が少なかったうえ、数少ないヒット商品でも欠品を発生させてしまった」(藤本社長)ことが大きく足を引っ張りました。


売れすぎて1ヵ月で販売を終了した「ハロハロ」の果実氷いちご(税込み320円)

たとえば、昨年7月に発売したコールドスイーツ「ハロハロ」の果実氷いちごは、発売から約1ヵ月で280万食を売る大ヒット商品になりましたが、7月下旬には発注制限をかけざるをえない状況となり、8月上旬には販売を終了する結果となりました。

ハロハロは320万食を増販

この反省を生かし、藤本社長の就任2年目に当たる2018年度は、さまざまな施策を打っていく構えです。

ハロハロについては、5月発売予定の果実氷いちごを昨年の1.6倍(170万食増)に当たる450万食分の在庫を確保。7月に発売予定の果実氷温州みかんも150万食を用意しており、合計で320万食の増販を計画します。売り上げに換算すると、約10億円の増収要因になるといいます。

また、同じコールドスイーツのカテゴリーでは、ベトナムの店舗で人気商品となっている「ゴロッと果実のピーチティー」を日本向けにアレンジし、4月に投入する予定です。5月には、希少品種である静岡県産のクラウンメロンの果汁を使用した「静岡クラウンメロンソフト」も発売します。

「クラウンメロンソフトは他社にはマネできない商品。商販一体となって単品集中販売をさらに昇華させ、コールドスイーツを挽回させたい」と、藤本社長は意気込みます。

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