はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。

社会人1年目で、どのように資産形成していけばいいのか分かりません。支出は個人的には多くない方だと思います。まずは目標100万円を貯めて、それをすべて株式投資に回そうと思っています。

また株以外の投資知識があまりなく、投資信託やNISAなど名前は聞くものの、どこから手をつけていいかわかりません。社会人1年目が言うことではないかもしれませんが、今のお給料だけでは正直将来が不安です。給料以外に第2、第3の収入がほしいと思っています。

30歳になるまでに、給料に加えて第2、第3の収入で、年間収入1,000万円を達成したいのですが不可能でしょうか(株は得したり損したりすることもあるので一概には言えないかもしれませんが…)。また、もし、達成できる可能性があるのなら、株、FX、不動産など、何をいつから始めるのか、始めるまでにどれくらいの資金を用意すればよいのか教えてください。

〈相談者プロフィール〉
・男性、23歳、未婚
・職業:会社員
・居住形態:賃貸
・手取りの世帯月収:28万円、年収額面で380万円くらい
・毎月の支出目安:12.6~14.8万円


花輪: 資産運用というと、株やFXから入る人が多いですが、初心者には投資信託がおすすめです。

最大のメリットは少額で色々な商品に投資できること

投資信託はプロが運用してくれるパッケージ商品です。たとえば、日本株式の投資信託はバスケットの中にさまざまな日本株式が詰め合わせになっているイメージです。

個別の日本株式に投資をする場合は、銘柄によっては最低投資額が数十万円することもあって、色々な株式を持つには数百万円ものお金が必要な場合もあります。

ところが、投資信託を利用すれば、1万円程度からさまざまな株式などが組み入れられたパッケージ商品を購入することができます。複数の投資家から集めたお金をプロがまとめて運用をするため、小口のお金での投資が可能になるのです。

特大のホールケーキをひとつ買うか、リーズナブルな価格でケーキの詰め合わせを買うか、というイメージを持っていただけると分かりやすいでしょう。

日本株式、外国株式、日本債券、外国債券の投資信託に少額から積立が可能で、金融機関によっては月100円から積み立てサービスを行っているところもあります。少額で国内外のさまざまな商品に投資できるのが投資信託の大きなメリットです。

「卵はひとつのカゴに盛るな」という格言もあるように、できる限りリスクを抑えながらお金を増やしていくには資産を集中投資しないことが大切なのです。せっかくなので非課税のNISAを活用するとよいでしょう。

第2、第3の収入源を確保するには?

会社員の場合でも、不動産、事業所得を持っている人も多くいます。

事業の場合は、熱中できること、得意なことを生かして成功している人が多いです。人生100年時代と言われ、65歳まで会社員を続けたとしても、残り35年間も人生が続くことになります。会社員の時から強みを見つけて徐々に独立を考えるとよいでしょう。

不動産投資の場合は、低価格で物件を購入し、高い家賃で貸し出しができれば高い利回りが期待できます。

利回りとは、投資金額を1年間でどれくらい回収できるかをパーセンテージで表したものになります。たとえば、利回り10%なら、投資金額を10年間で回収できるということになります。

不動産の利回りでよく利用されるのは「表面利回り」と「実質利回り」という2種類です。

【表面利回り】
表面利回り=年間家賃収入÷物件価格×100
物件価格が500万円で年間の家賃収入が50万円であれば、表面利回りは10%になります。

【実質利回り】
実質利回り=実質家賃収入(家賃収入-経費)÷総投資額(物件価格+初期コスト)×100
物件価格が500万円で初期コストが50万円、年間の家賃収入が50万円、維持費や税金等が20万円とすると、実質利回りは5.45%まで低下します。

30代前半の会社員の方で20室程度の大家となり、給与と同等の収入を得ているといった人もいますので、社会人1年目から目指せば年収1,000万円以上も夢ではないでしょう。

最初の1室目が大切なので、担保価値が高い物件を上手に選ぶようにしましょう。

大切なのはメンターを見つけて自己投資をすること

事業や不動産投資を行う場合、やり方によっては多額の元手がいらない場合もあります。業種によって必要経費が違いますし、不動産投資の場合はローンを上手に活用する方法もあります。

また、給与以外に一定以上の所得がある場合は自分で確定申告をする必要がありますが、税金のことを学べるようになります。

一番よいのはメンターとなる人を見つけることでしょう。セミナーや勉強会に参加したり、ブログや本を読み勉強したり、人に会ったりして自己投資をするとよいですね。

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