「貯蓄ゼロ」世帯が増える中での投資の考え方

世論調査から考える資産運用とは

「貯蓄ゼロ」世帯が増える中での投資の考え方

日本銀行が事務局を務める金融広報中央委員会のアンケートによると、「金融資産をもっていない」世帯、いわゆる「貯蓄ゼロ」世帯が増えています。

貯蓄ゼロ世帯が増えているものの、老後の生活について「心配である」と回答した世帯は8割程度と高水準で推移しており、老後の生活に不安を感じていないわけではないようです。しかしながら、「現在生活設計を立てていないし、今後も立てるつもりはない」との回答がじわりと増加しています。

老後に不安があり、資金を積み立てる必要を感じながらも、切迫感に乏しく、金融資産の保有につながる行動には至っていないと考えられます。


金融資産保有世帯の金融資産保有額は着実に増加

貯蓄ゼロ世帯が増えている一方、金融資産保有世帯の金融資産平均保有額は着実に増加しています。2017年では1,729万円と10年前より6%の増加となりました。

  

金融資産保有額を増やした上位の理由として、「定例的な収入が増えたから」「定例的な収入から貯蓄する割合を引き上げたから」が挙げられています。金融保有世帯のほうが将来を見据えた動きをしており、「貯蓄ゼロ」世帯との格差は進んでいるようです。

さらに、金融資産保有世帯の中の構成をみると、金融資産3,000万円以上を保有する富裕層と100万円未満の低貯蓄層が増加傾向にあります。金融資産保有世帯の中でも格差がじわりと広がっているようです。

何を重視して金融商品を選ぶべきか

では、金融資産保有世帯が金融商品を選ぶ際に重視していることは何でしょうか。

「元本が保証されているから」が理由のトップであり、安全性重視の姿勢がくっきりと表れています。今後どういった金融商品を保有したいかという希望をみると、「預貯金」と「保有希望はない」が圧倒的に多く、運用に消極的な姿勢がうかがえますが、それ以外では「株式」の保有希望が高い点には注目です。

安全性は重視したいが、将来の資産形成のためには、株式などのリスク資産の保有が必要だと金融資産保有層は感じているのではないでしょうか。特に金融資産保有額の高い層ほど株式の保有希望が多いという傾向があり、富裕層は株式投資などの運用に前向きといえるでしょう。

貯蓄ゼロ世帯と金融資産保有層、金融資産保有層の中で富裕層と低貯蓄層との格差が広がっている状況からも、将来の生活設計を立てて貯蓄をする、そのうえで資産の運用を考えるといった行動を取ることの重要性が浮かび上がってきているように思えます。

株式投資も選択肢の1つに

同アンケートによると、将来や老後に対する不安の理由として、「十分な金融資産がないから」と回答した世帯が約7割もいます。現状のような低金利時代に、金融商品の半分以上を預貯金が占めていたままでは、資産を増やすことは難しく、何らかの運用(投資)を考える必要があるでしょう。

投資対象となる金融商品には多種多様なものがある中、株式を選択肢の1つに入れておくのもよいかもしれません。安全性重視と真逆の商品のようにみられますが、必ずしもそうと言い切れない面もあります。

日用品メーカーの米P&Gに投資したケースを見てみましょう。P&Gは日本でもおなじみの日用品メーカーであり、グローバルで活躍する老舗企業です。

下図は1990年(正確には1989年末)に1,000ドル(当時の為替で約14万円)の資金をP&G株に投資した場合、2017年にどうなったのかを示したものです。

  

1990年から2017年という期間でみると株価は約10.5倍になっています。それだけではありません。同社は株主還元に積極的で、2017年まで61年連続して増配を続けてきた点も大きな魅力です。

仮に1990年に1,000ドルを投資し2017年まで保有し続けた場合、受取配当金の総額は3,884ドルにも達します。1,000ドルを投じて28年間保有し続けた結果、3,884ドルの配当金を受けとったわけですから、元本の約4倍の収益を手にしたことになります。

加えて、2017年に売却したならば、売却益9,544ドルを手に入ります。受け取った配当金の総額と売却益を合計すると1万3,428ドルです。1990年当時1,000ドル(14万円)を手元に置いたままだったら、何年経っても1,000ドルです。それを株式に投資して長期で保有したならば、P&Gの場合では28年間で14倍もの差になるのです。

中長期でみると、株価はその企業のファンダメンタルズ、すなわち利益の動きと連動しています。したがって、実力のある企業、グローバル企業などをピックアップすることは銘柄選択の王道といえます。

将来の資産形成を考える際に、目先の材料などに振り回されず、企業の規模、事業内容、企業のスタンスなどを考慮し、早めに投資を考え、じっくり保有することを検討してみてはいかがでしょうか。

(文:大和証券 投資情報部 花岡幸子)

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