はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は内藤忍氏がお答えします。

年間80~100万円程度は預金できる状況ですので、そろそろ資産運用を検討したいと考えています。既存の保険は取り崩さずに、預金と今後の収入の一部を運用に充てたいと思いますが、どのように、いくら運用をするのがよいでしょうか。過去に投資信託で運用に失敗しており、あまり大きなリスクは取りたくないですが、多少はしようがないと考えています。


〈相談者プロフィール〉
・男性、38歳、妻(35歳・パート)、子ども(7歳)
・職業:会社員(東証一部上場)
・手取り世帯年収:夫450万円(※社宅のため家賃は給与天引き)、妻60万円
・資産:預金650万円(うち定期預金450万円)、子どものための預金180万円、終身保険(一時払い)1,700万円、一時払い終身(積立)年24万円


内藤: 投資信託の運用で過去に失敗した経験があるということですが、おそらく商品の選択方法や運用のやり方に問題があったのだと思います。リスクはありますが、長期で資産を増やすための基本となるのは、まずは投資信託というのが私の意見です。

重要なのは資産配分とコストチェック

投資信託の選択で重要なのは、資産配分を重視してアセットアロケーションをしっかりと考えること。そして、コストを意識して販売手数料や信託報酬をしっかりチェックしてから商品選択を行うことです。

また、運用の方法としては大きく分けて、アクティブ運用とインデックス運用があります。前者は、市場の平均を上回る運用成果を目指す投資手法ですが、現実には半分以上のアクティブ運用は市場平均を下回る結果になっています。したがって、特にこれから投資を始める人はまずはインデックス運用を活用するのがよいでしょう。

配分比率を決めて、毎月積み立てる

インデックス運用の投資信託はネット証券で購入すれば、ほとんどの場合、販売手数料がかかりません。これをノーロードファンドといいます。また信託報酬はアクティブファンドよりも低い傾向にあります。投資対象は、円で運用するか外貨で運用するかだけではなく、株式、債券、不動産(REIT)など多岐にわたります。

このような投資対象の異なるインデックスファンドを、資産配分して組み合わせるのが、オーソドックスな運用方法です。配分比率に関しては、さまざまな比率が提案されていますが、拙書「10万円から始める! 貯金金額別 初めての人のための資産運用ガイド」にも、モデルとなる配分方法が掲載されていますので参考にしてみてください。

また、毎月の積立も可能ですので、当初の配分比率と同じ比率で積立を自動的に行えるように設定するのがよいでしょう。多くのネット証券では1,000円程度から積立ができますので、毎月1万円の積立でも資産を分散させて投資することができます。

NISAを活用して長期的な資産形成を

最後に、NISAに関してですが、投資未経験者の人であればNISA口座を積極的に活用すべきです。1人年間120万円までという制約はありますが、枠内で投資をするのであれば使わない手はありません。

資産を分散させて、積立を併用して、長期で資産形成すれば、投資の失敗の可能性を低下させることが可能です。短期の成果を追い求めるのではなく、長期的な資産形成を目標に正しい方法で続けてみてください。

この記事の感想を教えてください。