はじめに

8月中旬のこの時期は、機関投資家の多くも夏休みに入るため、株式市場の売買は低調になります。今年は、そのような時期にトルコリラの急落が発生し、日本の株式市場も大きく乱高下しました。

米国での利上げが続き、新興国の通貨が売られるなど不透明感が強い状況ですが、このようなときに中期的な視点で銘柄を探す方法の1つとして、「シーズン・ストック」が挙げられます。


シーズン・ストックとはどんな銘柄か

「麦わら帽子は冬に買え」という相場の格言をご存知でしょうか。麦わら帽子のような、季節によって需要が大きく変動する商品は、需要が少なく価格が安い時期に購入しておき、需要が多い時期に売却するという、いわゆる季節戦略を説く格言です。

株式投資でも、他の投資家が注目していない時期に比較的安値で買える銘柄は、多くの投資家が注目する時期になると、株価も高値を付けることが多いのです。こうした季節要因によって業績や株価が変動しやすい銘柄を「シーズン・ストック」と呼びます。

では、夏場に注目されないテーマにはどのようなものがあるのでしょうか。一例としては、猛暑の反対である厳冬関連株が挙げられます。

厳冬関連株にはどんなものがある?

2017~2018年の冬を振り返ってみると、北陸地方で記録的な大雪となるなど、非常に寒さの厳しい冬となりました。これを受け、株式市場では暖房器具や燃料、冬物衣料やマスクなどを手掛けるメーカーや、除雪を行う企業、スタッドレスタイヤを販売する小売店などが、恩恵を受ける銘柄として注目を集めました。

実際に、前冬に厳冬関連株として注目された銘柄をまとめてみたものが、下表です。



一部に足元の株価のほうが冬場よりも高い銘柄がありますが、大半は昨年の秋から冬にかけて上昇し、足元ではほぼ1年前と同水準まで株価が調整していることが読み取れます。

「人の行く裏に道あり花の山」

もちろん、今年の冬が厳冬にならずに暖冬となる可能性もありますが、投資家の多くがテーマとして興味を示していない夏のこの時期は、株価がこなれた水準にあることも多いです。トルコリラの急落など外部要因でマーケット全体が下落する局面では、こうした厳冬関連株を一段と安い株価で買い付けることもできそうです。

相場の格言には「人の行く裏に道あり花の山」というものもあります。他人と同じことをしていても利益にはならず、むしろ反対のことをやった方がうまくいく場合が多いと説いています。

「シーズン・ストック」に限らず、まだ他の投資家が注目していない相場テーマを探してみてはいかがでしょうか。

(文:松井証券 シニアマーケットアナリスト 窪田朋一郎)

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