はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は内藤忍氏がお答えします。

投資を始めるにあたって、時間のリスク分散と投機の取り扱いについて質問です。預金が1,000万円近くになったため、投信、株式取引に手を出そうと思い立ち、国内株式、海外債券、海外株式、海外REIT、バランス型の投信をそれぞれ10万円ずつ購入しました。そこで質問なのですが、現在の預金額のうち600万円程で投信を買うにあたって、どれくらいの頻度、どれくらいの金額で分散していくといいのでしょうか。間隔が狭すぎればリスク分散にならないと思い、頻度と金額で悩んでます。


また、学習も兼ねて少額ですが、投機も行っていきたいと思ってます。投機は基本国内株式で行うと思うのですが、投機の分を国内株式の資産分散額に勘定するべきなのでしょうか。投資という世界に触れたばかりで、おかしな質問をしているかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
(男性、30代後半、独身)


内藤: 資産運用を始める際の、資産の移行スピードですが、ご指摘のように早くやり過ぎれば時間の分散になりませんし、あまり時間をかけ過ぎると、いつまでたっても自分の理想のポートフォリオが完成しないことになります。

リスクが分散される投資のタイミングとは?

私は目安として、1年かけて理想のポートフォリオに自分の資産をシフトさせていくことを提案しています。

まず少額から始めてみて問題ないと思えば、3ヵ月後に資産の4分の1、半年後に半分、9ヵ月後に4分の3、そして1年後に計画していた資産すべてが投資に回るようにしていくのです。

ご質問者の方の例でいえば、600万円を投資に回すということですから、四半期ごとに150万円を目安にして投資をしていけば良いでしょう。

タイミングについてはあまり神経質になる必要はありません。投資のタイミングに関しては厳密なルールがあるわけではありませんが、自分が管理しやすいスケジュールで計画的に進めていくのが良いでしょう。

「勉強のための投機」というのは、短期で売買することを指していると思いますが、そのような資産についても、分散投資の資産と合わせて管理していくべきです。リスクという点では、保有している間は短期保有も長期保有も変わらないからです。

配分状況、配分比率を見直すタイミングは?

なお、投資先の投資信託の中にバランス型ファンドが入っているのが気になりました。

バランス型ファンドとは、資産運用をファンドに任せてしまいたいという初心者向けの投資商品です。日本株、REITといったそれぞれの資産クラスに投資する投資信託を購入しているということは、ご自身で資産配分を決めるということになりますから、バランス型ファンドを組み入れる必要はなくなります。

日本株、日本債券、外国株(先進国、新興国)、外国債券(先進国、新興国)、REITといった、それぞれの資産に投資する投資信託を使って、配分比率を決めて投資をしていくのが良いでしょう。

ポートフォリオが完成してからも、3ヵ月に1回は資産全体の配分状況を見直すようにしてください。また、配分比率に関しては年に1回見直しをして調整するようにしてください。

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