2018.09.10

作業服の「ワークマン」がカジュアル専門店を出した裏事情

高成長の秘密に迫る

作業服の「ワークマン」がカジュアル専門店を出した裏事情

作業着などの販売で知られる「ワークマン」が9月5日、新業態をオープンさせました。カジュアルウエア専門店「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」です。

場所は、ららぽーと立川立飛。立川駅から多摩モノレールで2駅、立飛駅直結のオシャレなショッピングモールです。

それにしても、一般向けのアパレル市場は言わずと知れた大激戦区。そこへあえて参入した、ワークマンの勝算を探ってみます。


ワークマン初の一般向け店舗

筆者がワークマンプラス1号店を訪れたのは、オープンから最初の週末となった9月8日。開店直後の10時10分過ぎに到着したところ、ららぽーと内の他の店舗はまだ人もまばらだというのに、ここだけは早くも多くの人が訪れ、しかも真剣モード全開でした。

これまでワークマンは、駅ビルや大規模なショッピングセンター(SC)など、公共交通機関で行ける便利な場所には出店してきませんでした。理由は、顧客ターゲットの特性です。

ワークマンの主要顧客層である建設現場で働く人は、数人が1台のワゴン車に乗り合わせて現場に向います。現場でラジオ体操が始まるのは多くの場合8時ですので、車で行くのに便利な場所に店を構え、開店も朝7時です。したがって、商業施設全体の開店時間に合わせなければならない駅ビルや大型商業施設に出店する理由がなかったのです。

それではなぜ、ららぽーとに出店したのでしょうか。それは、今回オープンした店が作業服や作業用品を一切置かず、同社オリジナルのカジュアル3ブランドだけを置く、一般客を対象にした店だからなのです。

なぜ一般客向け店舗を出したのか

ワークマンは現在、3つのカジュアルブランドを持っています。レインスーツの「イージス」、アウトドアの「フィールドコア」、スポーツウエアの「ファインドアウト」です。ブランド自体を立ち上げた時期はまちまちですが、2年前からワークマンショップ全店で販売しているそうです。

「防寒性の高さがすごい」とバイク乗りの間で話題になり、それが釣り愛好家や山歩きをする人たちの間にも広がるなど、過酷な状況で働く人たち向けのノウハウが、過酷な状況下で“遊ぶ”人たちにも高評価を受けたといいます。

そのため、ここ数年で突然、売り上げが増えたわけではないようです。下のグラフは、フランチャイズ(FC)も含めたグループ全店でのカジュアルウエアの売上高と、全売上高に対する構成比の推移を集計したものです。

じわじわと成長し、東日本大震災の特需があった2011年度を除けば、3年前まではおおむね3~5%程度の伸びでした。それが全店で販売するようになったことが奏功したようで、この2年ほどは1割前後伸びています。

それでも、従来の主要顧客層だけでこれだけ伸びているのであれば、わざわざ大型のショッピングセンターに出店する意味はありません。実は、かつてはほとんどいなかった、一般客の割合が全体の2割にまで増えているのだそうです。

カジュアルブランド急成長の秘密

作業着や軍手などワーキング用品が8割弱という売上構成比は、昔から変わっていません。全体が伸びている中でカジュアル衣料も伸びているのです。

上記3ブランドの売上高は2016年度が30億円だったそうなので、この時点ではカジュアル衣料の売上高の4割弱だったことになります。2017年度には60億円に倍増したということで、カジュアル衣料全体の3分の2がこの3ブランドの売り上げだったことになります。今期は前期比9割増の115億円を目指すそうです。

ワークマンプラス最大の武器は、プロ仕様の高機能と価格の安さの両立です。同レベルの機能を有する他社商品と比べると、アウトドアは半額以下、スポーツウエアは3分の1以下を目指すといいます。

なぜそんなことが実現可能なのかというと、製造委託先への発注ロットがアパレルメーカーとはケタが違うからなのだそうです。過酷な状況下で働く人の場合、衣料品や用具の消耗が激しく、使用サイクルが極めて短いので、買う量がケタ違い。その恩恵を一般の人も受ける形になるわけです。

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