はじめに

2018年8月25日、人生100年時代に向けた長期資産形成を学ぶをテーマに開催されたイベント「資産形成1DAYスクール2018」。本イベントでは「貯蓄から資産形成へ」の第一歩として、お金の最新情報や制度、効率的なお金の増やし方を著名ファイナンシャルプランナーが中立的な視点でわかりやすく解説しました。

また、資産形成とは具体的に何をするのか知りたい・話題のiDeCoやNISA、つみたてNISAの特徴や違いメリット・デメリットを知りたいなどのニーズに応えたセミナーが多数開催されました。

その中から本記事では、スパークス・アセット・マネジメント株式会社チーフ・エコノミストの清水孝章氏によるセミナー「なぜ株式を保有すべきか?~「厳選投資」の魅力とは」をご紹介します。


なぜ株式を保有すべきか

清水氏: 皆さま、こんにちは。スパークスの清水と申します。本日は本当に厳しい暑さの中、このように大勢の皆さまに足を運びいただきまして誠にありがとうございます。スパークスという会社の話を初めて聞くというお客さまはどのぐらいいらっしゃいますでしょうか?

(会場挙手)

ありがとうございます。9割以上の方がご存知ないようですので、簡単に私どもの紹介をさせていただきます。

創業が1989年7月、バブル崩壊の5ヶ月前。来年でちょうど30年目になる日本の資産運用会社です。日本株式とアジア株式の証券投資を中心としながら、再生可能エネルギー発電所や不動産、そして日本・アメリカ・イスラエル・イギリス等のベンチャー企業への投資も行っている会社です。従業員数が166名、お預かりしている資産が約1兆1000億円です。そのうち約6割は、海外の投資家さまからお預かりしています。資産運用で長い歴史、長い実績を作ってきた会社です。

ところで皆さま、ジョージ・ソロスという投資家をご存知でしょうか。ジョージ・ソロスは、1990年代にイングランド銀行に為替介入で勝負を挑んで、1日で10億ドル以上の利益を得たと言われる、ヘッジファンドの帝王です。イングランド銀行は中央銀行ですから、日本でいったら日銀に勝負を挑んだようなものですよね。代表取締役の阿部は、そのソロスのもとで働いたことがある数少ない日本人として知る人ぞ知る存在です。阿部が創業したスパークスはアクティブ運用の会社です。インデックスにかかわらず、とにかくいい経営者、いい事業を行っているいい会社に投資すること。それが私どもの哲学です。

それでは、本題に入らせていただきます。投資先企業を見極める目利き力、そして、パフォーマンスで生き残ってきた私どもの考えを紹介しながら、本日は、なぜ株式を保有すべきなのか、についてお話させていただきたいと思います。まず、この根源的な問いに対して2つのエピソードを紹介したいと思います。

投資先のビジネスを自分事とする

本日登壇された方々の講演で、資産を「守る」、「積み立てる」、「増やす」などのキーワードが繰り返されていますが、なぜ株式を保有すべきなのでしょうか。それは、事業に投資して大きく増やすためです。いい事業を大きく伸ばすためです。ここに示したのは、私どもの代表の阿部が、今年の1月にウォーレン・バフェットという投資家に会ってきた話を漫画にしてあります。

ウォーレン・バフェットという投資家の名前は皆さん、聞いたことがあると思います。バークシャー・ハサウェイという投資会社を運営していて、自身の資産は10兆円保有する世界一の投資家の1人です。その投資家バフェットさんは88歳、阿部も64歳になりますが、今年の1月に会ってきました。

バフェットさんは1988年、日本でいうとバブルの後期ですね。コカ・コーラの株に自分の資産の3分の1を投資した投資家として知られています。当時、コカ・コーラの株価が2.7ドル。株価は過去8年で約4倍に上昇しPERなどの指標で見ると決して安くない水準でしたが、バフェットさんは2.7ドルでコカ・コーラ株に投資します。そして、9年後コカ・コーラの株価は28ドル、ほぼ10倍になるわけです。そしてその資産をベースに、そこから長きにわたって今の会社を築いてきます。

阿部は、バフェットさんと会った際、カフェで「ダイエットコークと普通のチェリーコークのどちらを飲みますか」と言われて、体重を気にしていた阿部がダイエットコークにしますと言ったら「ありがとう」と言われたんだそうです。なぜ「ありがとう」なのか。利益率がダイエットコークのほうが高かったからです。これはIRリポートには載っていない情報です。コカ・コーラの大株主であるバフェットさんは、コカ・コーラのビジネスを自分ごととし精通しているわけです。

今もバフェットさんは保有比率を下げこそすれ、コカ・コーラの株をずっと保有しています。ここに株式投資、株式を持つことの醍醐味があります。大きく増やす、自分の信じている事業を長きにわたって保有するということですね。

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