市場ポテンシャルは5倍以上?今アツいMLCCに注目する理由

日系メーカーが強い注目分野

市場ポテンシャルは5倍以上?今アツいMLCCに注目する理由

米国の電気自動車(EV)メーカー、テスラの新型セダン「モデル3」の生産が軌道に乗ってきたようです。EVが普及が進むと、車線維持支援、前方車両追従、緊急自動ブレーキなどの「先端運転支援システム(ADAS:Advanced Drive Assistance System)」など新たな機能の需要が増加し、電子部品市場に大きな変革をもたらすと考えられています。

その電子部品市場で現在、株式市場が注目するものの一つに「積層セラミックコンデンサ(MLCC:Multi Layer Ceramic Capacitor)」があります。今回は、このMLCCとはいったい何なのかを見てみたいと思います。さらに、注目されるMLCC材料メーカーを何社かご紹介します。


MLCCとは何か

MLCCはチップ型の電子部品です。ノイズ除去や電圧安定化などを目的として様々な電子機器に搭載されています。村田製作所やTDKをはじめ日系メーカーが世界的に高いシェアを有する分野です。

現在、ハイブリッド車やEVの普及により、動力がエンジンからモーターにシフトしています。ブレーキやシート制御などの電動化も進んでおり、ADASに代表される新たな機能も搭載されるようになっています。

こういった電動化・高機能化を背景として、自動車には多種多様な電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)が搭載されるようになっており、ECUに使用されるMLCCの需要も飛躍的に増大しています。

例えば、エンジンまわりで使用されるMLCCの個数は自動車1台当たりせいぜい500個程度でしたが、最近では2,000個以上の車種も出てきています。将来的にはカーナビ用なども含めた自動車1台当たりの平均的なMLCC搭載個数は10,000個を超えると考えられています(現在は2,000~3,000個程度)。そうなれば自動車用MLCCの市場規模(個数ベース)は現在の5倍以上に拡大する計算です。

このように需要が拡大すれば、MLCCメーカーはもちろんのこと、その材料メーカーも大きな恩恵を受けると期待できます。

MLCCの材料には何が使われているのか

MLCCは誘電体(チタン酸バリウムなど)と内部電極(ニッケル)を薄く積層した構造となっており、これに電気を取り出すための外部電極(銅)が取り付けられています。

自動車用のMLCCはスマホ用などと比べサイズが大きいことが特徴です(ボリュームゾーン同士の体積比較では数十倍程度)。これは、自動車用MLCCは信頼性が最重要であること(一般的に言えば、サイズが大きい方が信頼性を確保しやすい)、スペースに比較的余裕がある環境で使用されていること、が理由です。

サイズが大きい分、自動車用MLCCの材料使用量は多いため、その需要拡大は材料メーカーにとって大きな追い風となる見通しです。懸念されるのは小型化(ダウンサイジング)ですが、自動車業界では信頼性を重視しているため、小型化は直ちには進みにくい状況にあります。

もちろん将来的にはコストダウンなどのために自動車用MLCCでも小型化が進展していくことになるでしょう。ただし一定程度の小型化が進むにしても、上述のとおり自動車1台当たりのMLCC搭載個数が5倍以上に伸びる見通しであることから、MLCC材料の需要は非常に高いペースで伸びていくと予想されます。

MLCC材料の販売単価については、タイトな需給を背景として、今後2~3年程度は低下のリスクは低く、むしろ上昇の可能性があると考えられます。

MLCC材料で注目される企業は

サイズの大きい自動車用MLCCが増えることで、様々なMLCC材料メーカーが恩恵を受けると考えられます。注目企業の一つがチタン酸バリウムのメーカーです。

MLCCには、高温下でのパフォーマンスに優れたタイプと、静電容量に優れたタイプの2タイプがあります。今後、ECU向けで高い伸びになるとみられるのが後者であり(ECUのデータ処理量が増大しているため)、その誘電体としてシュウ酸塩法で製造されたチタン酸バリウムの需要が伸びると期待されます。

シュウ酸塩法チタン酸バリウムは結晶性に優れ、静電容量・温度特性の両方が要求されるECU用MLCCの誘電体として適していると考えられます。チタン酸バリウムの製法には水熱合成法や固相法もあります。

水熱合成法はシュウ酸塩法と同様、結晶性に優れたチタン酸バリウムを生産することができます。一方、固相法チタン酸バリウムは粒子が細かいため、どちらかと言えば小型化が要求されるスマホ用MLCCの誘電体として適しています。

自動車向けに優れた特性を持つシュウ酸塩法チタン酸バリウムを生産する石原産業(4028:チタン酸バリウムは子会社の富士チタン工業で製造、チタン酸バリウムの原料となる四塩化チタンなどは同社で製造)や日本化学工業(4092)は要注目です。これらのメーカーはチタン酸バリウムに使用する原料(四塩化チタンや高純度炭酸バリウムなど)も内製しており、大きな増産効果が期待されます。また、水熱合成法チタン酸バリウムを生産する堺化学工業(4078)や、チタン酸バリウム製造用のジルコニアボールを生産するニッカトー(5367)にも注目しています。

(文:いちよし経済研究所 企業調査部 石橋克彦)

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