はじめに

今年の4月から保育園に入園できるかどうかが判明する可否通知が各地に届き始めています。ツイッターなどのSNSでは、「#保育園に入りたい」「#保育園落ちた2017」というハッシュタグで、保育園に入所できなかった母親たちの悲痛な声が拡散されています。

政府や自治体も力を入れて待機児童問題を解決しようとしてはいますが、その根は深刻。あるアンケートの結果からは、乳幼児を抱える母親たちが、あの手この手で保育園入園への切符を手に入れようと過熱する「保活」の状況がみえてきました。


減らない待機児童2万3,500人

昨年の流行語大賞に選出された、匿名ブログの「保育園落ちた日本死ね!!!」。強い言葉で賛否両論を生みましたが、“保活”や“待機児童問題”についてよく知らなかった人たちにも大きなインパクトを与えることとなりました。

その後、ツイッターでは「#保育園落ちたの私だ」という投稿がムーブメントを巻き起こし、待機児童問題の深刻さが浮き彫りになりました。

厚労省の発表によると、平成28年4月時点の待機児童はおよそ2万3,500人。前年より増加している状況です。

そして現在、今年4月の保育園入園に向けて、「子供を預けたい」と願う家庭の未来を左右する入園可否通知が届き始めています。

認可保育園3人に1人は入れず

ベビーシッターサービスなどの育児支援事業を行う株式会社キッズラインが、346人の保活経験がある母親にアンケートを行ったところ、過去に保活をしたことのある人のうち、「申し込みをしたすべての認可保育園に落ちた」人は26.4%と最多に。

「結果待ち」を除くと約3人に1人が認可保育園に入れなかったことがうかがえますが、すべての人に結果が通知されたあとはさらに「入れなかった」割合が増えることが予想されます。

なかには「認可保育園には申し込まなかった」という人も14.2%います。激戦の認可保育園に入ることをはじめから諦めているのか、または復帰直前までわからない認可の結果通知を待ちきれなかったのか、母親たちの焦りを抱えた姿が目に浮かびます。

保活費用50万円以上が1割

保活にかけたお金の総額については、23.8%の人が「10万円以上」、9.7%が「50万円以上」と多大な費用をかけていることが明らかになりました。その内訳としては、「認可外保育園の入園金」「ベビーシッター代」「引越し費用」などが挙げられます。

指数を上げて入園に少しでも有利に働くよう、認可保育園の申し込み前に認可外保育園やベビーシッターに預けたり、もし認可保育園に入所できなかったときのために認可外保育園の入園金を支払っていることがうかがえます。

また、待機児童が少ない地域に引越しをして、確実に保育園に入園できるように準備をした人もいたそうです。入園を勝ち取るために母親たちも必死です。

保育士に4万4,000円の給与補助

待機児童が日本で一番多いのは東京都ですが、日経新聞の報道によると、小池百合子都知事は2017年度予算案で「待機児童対策に過去最大の1,381億円を計上」し、「『19年度末までの待機児童ゼロ』を目指す」と意気込みます。

特に課題となっている保育士の確保について、ひとり当たり月額平均4万4,000円の給与補助の支給を決めました。この待遇改善により保育士を確保して、待機児童を解消するねらいがあります。

待機児童数が膨れあがっているなかで、母親が職場復帰できるのか、二人目を産むのかといったことは、入りたいときに保育園に入れるかどうかにかかっています。子育てしやすい環境にするために、国や自治体に対策を急いでもらうことを願うばかりです。

【調査概要】
《対象者》保活経験があるキッズライン登録ユーザー
《期間》2017年1月26日〜2017年1月31日
《性別》女性:346名 男性:0名
《年代》20代:24名 30代:242名 40代以上:80名
《世帯》共働き:302名 片親のみ就業:23名 ひとり親:21名

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