はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。

私には2人の子どもがいます。小学生と幼稚園生です。自分はさんざん浪費をしてきて、決して賢いお金の使い方をしてこなかったのですが、反面子どもたちにはお金に苦労する人生を送ってほしくないと思っています。小さい頃に教えることで、将来に役立つお金の教育方法というものはありますか。できれば賢いお金との付き合い方を習慣付けてほしいのです。お金との接し方を教えるのは難しく、あまり欲しいものを与えないようにしても大人になって反動が生じそうで、かといって奔放に欲しいものを与えるのも逆効果な気がします。思いつくのは、お小遣いを年俸制にして計画的なお金の使い方を身につけさせるというくらいです。よいアイデアがあれば、教えていただけますでしょうか。
(男性、30代、既婚、子ども2人)


花輪: 心理学者のホアキム・デ・ポサダ氏は、成功するために最も重要な資質は「自制」する能力だと、著書やTEDのスピーチの中で述べています。

自制する力を測る「マシュマロ実験」

有名な「マシュマロ実験」をご存知でしょうか。 4歳児を部屋に残してマシュマロを置いておき、15分して大人が戻ってきた時にまだマシュマロがあったら、もう1個もらえるというものです。

研究者たちは 18歳から19歳になったその子どもたちを見つけ、マシュマロを食べなかった子どもたちはみんな人生がうまくいっていることを発見しました。成績が良い、素晴らしい、幸せである、将来の見通しがある、先生や友達とよい関係を築いているなど、うまくやっていたようです。

他方でマシュマロを食べた子どもたちの多くは、何かしら問題を抱えていました。大学に行けなかった、成績が悪い、何人かは中退、在学している一握りも成績が悪い、成績が良かったのはほんのわずかだけだったそうです。

成功しているインド人家庭に共通する教育法

私はシンガポールに住んでおり、多国籍な文化に触れ合う機会がありますが、シンガポールに来ている成功したインド人の多くは倹約家が多いと痛感します。4歳の我が子と仲良くしている3歳のインド人の子どもはマシュマロを食べるのを我慢できるタイプです。

「オレンジジュースが飲みたい」「クッキーが食べたい」、子どもがそう言っても母親はすぐには与えません。「もうすぐ食事をするから、先に食事を食べてからにしなさい」と言うのです。たとえ他の子どもがお菓子やジュースを摂取していて、自分の子どもが欲しがっても、説明をして諭して与えないのです。

また、子どもがおもちゃをねだった時も同じです。「これは実用的じゃないから」そう言って、子どもが欲しがってもすぐには買い与えません。3歳の子どもにもかかわらず、その子は泣きじゃくったり取り乱したりせずに母親の言うことを聞きます。

多少の違いはありますが、成功しているインド系の家庭は、このように子どもの自制心を養うような教育をしていると感じます。代々受け継いでいる帝王学なのかもしれません。まずは自制心を養うような教育を心がけてみてはいかがでしょうか。

子どもの年齢に合わせて小さなことから始める

お小遣いを年俸制にするなどのアイディアは良いとは思いますが、子どもの年齢に合わせて難易度を調整した方が良さそうです。

小さな子どもはその日のことしか覚えていられないからです。たとえば、たくさんねだったら「今日は1つだけ」などと言うのも手でしょう。

親にとっても子どもにとっても、負担になり過ぎない小さなことから始めてみるのはいかがでしょうか。

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