はじめに

みなさんは最近、旅行していますか? 「安・近・短」 と言われて久しい旅行業界ですが、そのトレンドは少しずつですが毎年変化しています。2016年人気の旅行先からわかる、賢く旅する消費者の姿とは?


2016年「人気海外旅行先ランキング」

2017年1月23日、世界最大級の旅行情報サイト・エクスペディアの日本語サイト、エクスペディア・ジャパンが2016年「人気海外旅行先ランキング」を発表しました(※2016年1年間の合計予約件数から同社がランキング作成)。

ランキング上位を見ると、ソウル、台北、バンコクと昨年もトップ3に並んだアジアの都市が依然高い人気を誇ります。また、上位10都市のうち、6都市がアジアとやはり「安・近・短」 のトレンドが続いている様子です。

「夏休みなどのまとまった休みではなくても、週末や3連休を使って気軽に行けるアジアが人気です」(エクスペディア・ジャパン)と、LCC(格安航空会社)などを使って予算も抑え気軽に旅する習慣がますます広がっているようです。

アメリカ人気が上昇、その理由は?

一方で昨年特徴的だったことは、2015年は姿を見せなかったアメリカ本土の2都市がランクインしているところです。8位にニューヨーク、9位にラスベガスが名を連ねました。

その要因として、「昨年は円高・ドル安が進んでいたことが理由と考えられます」とエクスペディア・ジャパンは分析します。

ここで2016年の為替レートを振り返ってみると、最高値は1ドル121.68円(1月29日)、最安値は99.53円(8月16日)でした。

 2016年円/ドル 月平均値

例えば、旅費が1500ドルだった場合で単純計算すると、1月には18万2,520円だった額が、8月には14万9,295円となり、為替の変化によって大きな差が生じることになります。当たり前ですが、円高ドル安のときに旅行するとお得になるのです。

円高がもっとも進んだ時期が夏期休暇と重なったことで、アメリカをバカンスの地に選んだ人が多かったよう。

また、2016年は原油安にともなって、JALやANAにおいてそれまで片道7,000円(アメリカの場合)必要だった燃油サーチャージが廃止されていたことも、長距離渡航を後押ししました(2017年2月から復活)。

とくに旅慣れた人たちが指名利用する旅行情報サイト・エクスペディア・ジャパンにおいて、「今がチャンス」とアメリカ2都市が選ばれたことは必然的だったようです。

ちなみに、同社が昨年末に世界12都市を比較調査した「5つ星ホテル 都市別価格ランキング」において、アメリカ・ラスベガスは4位にランクイン。カジノシティには、きらびやかなイメージがありますが、意外と低価格で高級ホテルにも宿泊できます。

今の為替レートは113円(1月25日現在)。トランプ氏が大統領に就任し、その動向次第で大きく左右される今後を読むことは難しいですが、賢く旅するためには為替市場からも目が離せません。

(文:編集部 樫本倫子)

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