はじめに

男性のステータスシンボル、腕時計。デキる男かを見極める際に、女性がチェックするアイテムです。

ただ、高額なものになると数十万円は当たり前、というのが高級腕時計の世界。実際、スイス時計協会FHが「腕時計を自分で購入したことがあり、30万円以上の腕時計に少しでも興味がある20歳以上の男女」を対象に行った調査では、男性の約52%が「欲しい腕時計の価格が高すぎて手が届かない」と回答しています。

そんな世の男性に朗報となりそうなサービスが首都圏に進出してきました。男性向けに高級腕時計の月額制レンタルサービスを展開する「KARITOKE(カリトケ)」が11月23日、有楽町マルイの時計売り場「フォードットウオッチ」にオープンしたのです。どんなサービスが受けられるのでしょうか。


返却期限なしでメンテナンス不要

ロレックス、オメガ、IWC……。誰もが一度は耳にしたことがある高級腕時計ブランド。そうしたブランド腕時計の月額制レンタルサービスを男性向けに展開するのがKARITOKEです。ITサービス企業のクローバーラボが今年6月から運営しています。

時計の種類によって月額レンタル料金が異なり、「casual(3,900円)」「standard(6,800円)」「premium(9,800円)」「executive(1万9,800円)」の4つのプランを用意。返却期限はなく、飽きたら別の時計に借り換えることもできます。レンタル品のため、高級腕時計には欠かせないオーバーホールなどのメンテナンスは不要です。

当初はネット上だけの展開でしたが、今年9月には実際に商品を試着してからレンタルできるリアル店舗を大阪・心斎橋にオープンしました。そして2号店として、4,000人いる会員の半数近くが関東在住ということもあり、「関東地方にも店舗を出してほしい」という声に応えて、有楽町マルイに出店しました。

利用者は営業マンや経営者が中心

KARITOKE利用者の9割が20~40代の男性。女性向けのファッションのレンタルサービスが増えている中、なぜKARITOKEは男性向けにサービスを展開するのでしょうか。

広報の土橋花梨さんは、同社が運営するメンズファッションのレンタルサービス「leeap(リープ)」が好調なことから、男性にもファッションレンタルサービスのニーズがあると判断し、その中でより意外性のあるもの、購入しにくいものという観点を踏まえて、ブランド腕時計にたどり着いたと話します。

店舗では常時60本を取りそろえています。人気のブランドはロレックス、オメガ、IWC。プランは月額料金が1万9,800円と最も高い「executive」が一番人気です。利用者は「営業職や経営者をされている方が多いようです」(土橋さん)。

有楽町マルイ店で一番高価な腕時計、HUBLOTのビッグバン(新品参考価格200万円)

オープン初日には開業前からお客さんが並び、その日のうちに23人が契約しました。新品参考価格で200万円を超えるHUBLOTのビッグバンは初日早々に貸し出されたそうです。

「これから起業するので自分に自信をつけるために、とご契約いただいた女性もいらっしゃいました」と土橋さん。まだ1割にも満たないそうですが、夫婦で契約するなど、女性の契約者も増えてきているといいます。

「腕時計に興味があっても購入するにはハードルが高いと感じる方に、まずは腕時計に触れるきっかけになっていただければ」と土橋さんは話します。

高級腕時計で小遣い稼ぎができる?

有楽町マルイ店で接客業務を行うのは、KARITOKEのスタッフではなく、マルイの専門スタッフです。同社のオムニチャネル事業本部グッズ課・冨田真弘チーフバイヤーは、KARITOKEを誘致した理由について次のように話します。

「時計の購入や修理以外のニーズにも対応したいと思い、当社からお声がけしました。オープン前からお問い合わせが何十件もあり、反響の大きさに驚いています」

貸し出し用の腕時計は、中古市場に出回っていた中から状態の良いものを選び、メンテナンスやクリーニングを行ってから店頭に並びます。ただ、それでは追いつかないほど利用者数が想定を大きく上回り、商品数やブランドのラインナップ拡大など、在庫の拡充が急務となっています。

そのため、「来春には高級腕時計のC to Cビジネスも展開していきたい」と土橋さんは意気込みを語ります。

「高級腕時計をいくつか所有している方を対象に、しばらく使用しない腕時計をKARITOKEに貸し出していただき、実際に借り手がついたらレンタル料の一部をお支払いするようなサービスを考えています。腕時計のメンテナンス費やクリーニング費は、もちろん当社で負担させていただきます」

購入はもちろん、所有しているだけでもメンテナンス費用がかかり、コストが馬鹿にならない高級ブランドの腕時計。コレクションしている人にとっては、KARITOKEが意外な小遣い稼ぎのツールになる日も近そうです。

(文:編集部 土屋舞)

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