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2018.06.30

東京五輪で緊急解禁、沸騰する「豪華客船ホテル化計画」

家から行く派?船から行く派?

東京五輪で緊急解禁、沸騰する「豪華客船ホテル化計画」

2020年の東京オリンピックが開催される夏、皆さんはどこでどのように過ごすでしょうか。会場で観戦、自宅で観戦、はたまた「興味ないな」という方もいるかもしれません。そんな東京オリンピック期間中の過ごし方に、新たな選択肢が生まれそうです。

旅行代理店大手のJTBは、東京オリンピックの大会期間中に、係留したクルーズ船を宿泊施設として活用する「ホテルシップ」を横浜港で実施すると発表しました。

オリンピックの宿泊施設というと、訪日外国人向けがイメージされますが、必ずしもそうではないようです。JTBの狙いはどこにあるのでしょうか?


2泊3日の特別体験

ホテルシップとは、クルーズ船などの大型客船をふ頭に係留し、宿泊施設として代替するものです。近年のオリンピックでは高まる宿泊需要の解決策として、2012年のロンドン大会で3隻、2014年のソチで4隻、2016年のリオデジャネイロでは2隻が導入されました。

今回JTBがチャーターしたのは、米国のプリンセス・クルーズが所有する「サン・プリンセス」。客室総数は1,011室、3カ所のプール、レストランに加え、劇場、スパ、スポーツジムなどの施設を備えた7万トンクラスの豪華客船です。

 (写真提供:プリンセス・クルーズ)

6月25日に行われた発表会見では、このサン・プリンセスへの宿泊を観戦券付き2泊3日パッケージプランとして一般発売をすることが発表されました。金額は7万円台から60万円台を予定しています。

滞在中の費用は基本「オールインクルーシブ」。食事や船内エンターテイメントなど、一部アルコールや有料施設を除いてすべて旅行代金に含まれるという、まさに豪華クルーズ仕様です。

会見で説明にあたった JTBの鈴木章敬担当部長は、「基本的には国内向け商品として、オリンピックを観戦したいという日本全国の皆様に万遍なくご紹介できる商品を目指したい」と語りました。

官民一体の肝いり施策

ホテルシップが旅行商品として一般販売されるのは、日本初の試みといいます。

背景にあるのは、東京オリンピック期間中の宿泊供給不足。都内を中心に宿泊施設の建設は進んでいますが、とはいえ大会後の稼働率低下も懸念されています。船舶であれば、大会後はまた通常航海にもどるため供給はダブつかず、ホテル業界にとっては願ったり叶ったりなわけです。

しかし、その実現には課題がありました。日本の旅館業法では、宿泊料をもらって人を宿泊させる場合、窓のない客室は衛生上の観点からNGとされています。ホテルシップのようなクルーズ船で宿泊のみを目的とした営業を行う場合は、旅館業法の営業許可が必要とされており、これまでは窓のない船内内側の客室がネックになってきました。

政府も、東京オリンピックの宿泊供給不足には危機感を持っています。2017年6月から内閣官房でホテルシップ実現に向けて検討会を開始し、2018年5月に厚生労働省より「当該イベント期間に限り各自治体の判断により営業許可を与えて差し支えない」とする通知が出されました。ホテルシップの実施が法律上も問題ないとされたのです。

これを受けて各自治体がホテルシップの誘致を検討する中、今回いち早く発表にこぎつけたのがJTBと横浜市でした。発表会見には、横浜市の林文子市長、国土交通省港湾局の菊地身智雄局長も来賓として出席し、官民総出の熱量が感じられます。

 左から:国土交通省港湾局 菊地身智雄局長、JTB 髙橋広行社長、横浜市 林文子市長

事前準備はバッチリ?

では今回、なぜJTBは横浜港を選んだのでしょうか。JTBの鈴木部長は、会場へのアクセスの良さと、横浜港の客船寄港実績の豊富さを挙げました。

横浜港には、毎年100回以上、国内外の旅客船が寄港しています。今回利用されるサン・プリンセスを提供するプリンセス・クルーズでも、日本発着クルーズを毎年運航しており、その拠点港となっているのが横浜港です。同社も「横浜港は日本におけるホームポート」と言い切るほど、実績による信頼関係は厚いようです。

さらに、JTBとプリンセス・クルーズは2019年に横浜港発の世界一周クルーズを予定していることも発表されました。JTBの鈴木担当部長は「この航海、両社で得られた知見もホテルシップに活かしていきたい」と語ります。

乗船しなくても楽しめる

国土交通省によると、2017年の日本人のクルーズ乗客数は31.5万人と、前年に比べ増加傾向にあるものの、世界的に見るとまだまだ少ないのが現状です。JTBの髙橋広行社長は「このホテルシップを東京2020のレガシーの1つにしたい」と語り、今回のホテルシップを契機に国内のクルーズ需要を広めたいとしました。

大会期間中には、ホテルシップが係留している山下ふ頭周辺でも、さまざまなイベントが計画されるといいます。クルーズ船に乗らない人にも、オリンピックの熱気が感じられる空間になりそうです。

クルーズ船を満喫するもよし、横浜周辺で遊ぶもよし。一生に一度あるかないかのイベントをきっかけに解禁された非日常体験。このビッグウェーブに、乗るしかありません。

(文:編集部 瀧六花子)

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