はじめに

相続税の税務申告において「土地の評価」は、とても重要なポイントになります。

最近は確定申告のための情報収集も容易になってきましたし、便利なクラウドサービスも多いため、個人事業主の方などには、税理士を頼らずに自ら所得税の申告を済ます人も増えてきています。

相続税申告についても、なるべく費用を掛けたくない人などは、自分での税務申告にトライしようと考えているかもしれません。

しかし、特に複数の不動産を所有しており、相続税の納税が発生するのであれば、相続税の税務申告は信頼できるプロの税理士の手を借りた方がいいでしょう。日本人の相続財産の多くは不動産によって構成されていますが、相続税申告のための不動産は評価が難しく、税理士であっても相続税申告に慣れていないと誤った申告を行うケースが起きやすいのです。

※誤った申告をすると、たいていが過剰納税をしてしまいます。


不動産評価が相続税の納税で重要な理由

なぜ不動産の評価が相続税の申告では重要なのでしょうか。大きな理由は、日本人の相続財産に占める不動産の比率がとても大きいからです。

国税庁の発表によると、平成26年に発生した相続の合計相続財産額12兆4086億円のうち、5兆1469億円が土地になります。ちなみに、6732億円が家屋になります(一般的に土地と家屋を合わせた相続財産額を不動産評価額と言います)。

つまり、相続財産のうちの約40%が土地の価額になるのです。

不動産の評価方法は、例えば上場株式や投資信託などの客観的な市場時価のある金融商品と違い、上場金融商品と比べて流動性が低く市場評価がない不動産の評価額には誰でも客観的に分かる時価がありません。相続税の不動産評価は、税法や国税庁の定める一定のルールに従って算定を行う必要があります。

不動産は、上場金融商品のように市場価格通りの金額でいつでも売却ができるとは限らないため、通常、実際に売買できる市場価格より多少安くなるように相続税計算のための評価方法が定められています。そのための評価方法が「路線価方式」と「倍率方式」と呼ばれる方法です。

・「路線価方式」とは

毎年国税庁が発表する各土地の路線価(1㎡あたりの価格)に土地面積をかけた金額を相続税の評価額とする方式。

・「倍率方式」とは

路線価が発表されないエリアの土地の評価方法で、固定資産税評価額に一定倍率をかけて相続税の評価額とする方式。

東京都内の不動産であれば、ほとんどは路線価方式の評価になるといえるでしょう。

土地評価の方法が路線価と面積の確認だけで終わりであれば、計算方法は簡単そうなので、プロの税理士などに頼らなくとも自分でできそうに思うかもしれません。しかし、ここからが一番のポイントですが、土地の評価方法は単純な「路線価×面積」で終わりではなく、さまざまな例外規定があり、特に減額規定が多いのです。

【参考】平成26年分の相続税の申告状況について 国税庁 路線価図倍率表

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