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2017.05.17

単身赴任で海外へ 持ち家は貸し出したいと思っています

FPの家計相談シリーズ

単身赴任で海外へ 持ち家は貸し出したいと思っています

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナー(FP)が答えるFPの相談シリーズ。今回はプロのFPとして活躍する野瀬大樹氏がお答えします。


半年後に海外赴任が決まりました。家庭の状況を考えて単身赴任とし、妻と子供は日本に残ることになりました。そこで2人に戸建の持ち家は広すぎるので賃貸に出し、妻の通勤の便のよいところにアパートを借りることにしました。多少の家賃収入を得るためでもあります。

早速、自宅の貸出手続きを開始していますが税金についてわからないことがあります。自宅の所有権は妻と私で、今は「妻:私=1:2」で所有しています。ネットで調べていたところ、家賃収入の課税は20%であり、海外に転勤する私である「非居住者」にのみかかり、「居住者」には税金は課せられないとのことでした。つまり、20%の3分の2の課税義務となり、13%の課税義務が私に課せられるとの認識は正しいでしょうか?

また税金対策として、私の名義を妻に譲渡し自宅を完全に妻の所有権にしてしまえば課税は回避できるのでしょうか。さらに名義を変更した場合には、どのような手続き・費用が必要でしょうか。質問が多くて申し訳ございませんが、アドバイスいただけますと助かります。
(30代後半 既婚・子供1人 男性)

海外赴任者の不動産所得について

野瀬:家賃収入については、おっしゃる通り20%の源泉徴収がありますが、これは借主が「法人」の場合のみです。個人の場合だと源泉徴収の必要はありません。

つまり300の家賃収入があると仮定すると、借主が法人の場合は240しかお金が入ってこず、借主が個人であれば300のお金が入ってくることになります。

不動産賃貸業といっても家賃収入のすべてが自分のものになるわけではなく管理費なども払う必要がありますので、正直収入総額の20%を源泉税としてとられるのは目先の資金繰りの観点からは痛いですね(簡略化のため復興税については省略しています)。

私自身日本で不動産投資をしており、インドに居住しているのですが、借主は皆個人ですので源泉徴収は基本的にされません。

ただ「どちらが得か」というとトータルで損得はありません。源泉徴収で20%差し引かれていたとしても確定申告では通常の給与の源泉徴収票と同じくその金額を最終の納税額より差し引くことができるからです。

共同所有の場合

共同所有の場合は13%というイメージではなく、家賃収入を持分に応じて按分するということです。

例えば300の家賃があれば、奥様が100、ご主人が200という計算になるわけです。ですから、現在のままですと、ご主人の200の不動産収入について日本で確定申告、奥様の100の不動産収入について日本で確定申告ということになります。

金額の多寡にもよりますが、共同所有であっても面倒なのでどちらか片方の確定申告にまとめてしまっている事例もたまに見受けられます(税理士の立場では言いにくい話ですが……)。

また「課税を回避」とありましたが、基本的に「課税を回避」する方法はありません。

おそらくこの場合、「源泉徴収を回避」という意味で「課税を回避」という言葉を使われたのだと思いますが、先ほどもお話しましたように源泉税というものは納税者に代わって税金を事前に支払っておくというような意味のものになります。

ですので、確定申告が終わった段階では源泉徴収されていようがされまいが結果は同じです。要は払うのが早いか遅いかというだけの問題です。

持ち分を譲渡した場合の課税関係

課税を回避する方法が原則ない以上、特に持ち分を動かす必要はありませんが、持ち分を動かした場合に起こり得ることについて触れたいと思います。

(1)費用

ざっくりいうと司法書士に払う登記費用が10万円程度、登録免許税が30万円程度でしょうか。あとは売買価格の3%程度の不動産取得税がかかります。

(2)売買に関する税金

持ち分変更には売買と贈与の2つの方法がありますが、当然ですが贈与には贈与税がかかります。年間110万までなら贈与税はかかりませんが、戸建となると評価額もそれなりの金額になりますので、この場合は売買のほうがよいでしょう。

そして売買となって、その売買自体で儲けが出た場合、その儲けに対して課税がなされます。ざっくり簡単にいいますと5年以内保有の不動産の場合は15%の所得税と5%の住民税、5年超保有の不動産の場合は30%の所得税と9%の住民税です。

そして当然ですが、売主が日本の非居住者扱いの場合(すでに海外赴任した人と考えてくださってけっこうです)、住所がないので住民税はかかりません。

では住民税がかからないので、ご主人が赴任してから売買取引したほうがいいのかというと問題はそう簡単ではありません。どこの国に赴任するかにもよりますが、不動産の譲渡益については赴任先の国が「課税する」と主張する可能性があります。いわゆる、二重課税問題です。

この場合、譲渡益について日本で確定申告と納税をして、赴任国で外国税額控除を使い日本での納税分を税金から差し引くという作業が必要になります。

私の住んでいるインドのような国ですと、なんだかんだ理由をつけてこの外国税額控除をなかなか認めてくれないことがありますので注意が必要です(笑)。

結論を申し上げますと、持ち分を変えても家族での課税関係にそれほど影響はないので、数十万かかるコストと今後の手続きの面倒さを考えると、今の持ち分のまま奥様分とご主人分を確定申告するのが一番費用対効果が高いような気がします。

海外赴任者の確定申告に対応できる税理士事務所は日本ではまだまだ少ないので、しっかり探して対応してください。もちろん私の日本の事務所では対応していますよ(笑)。

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