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2018.03.6

2世帯住宅を孫に相続すれば、相続税はかからないって本当?

FPの家計相談シリーズ

2世帯住宅を孫に相続すれば、相続税はかからないって本当?

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は伊藤英佑氏がお答えします。


主人の両親と同居しています。自宅は持ち家ですが、建物登記をまだしていません。義理両親は「自分達が死んだ後に孫に名義を移す。そうすると相続税がかからない」と言います。本当でしょうか?

<相談者プロフィール>
・女性、43歳、既婚・子供3人
・職業:パート・アルバイト
・居住形態:主人の両親と二世帯同居、持ち家(戸建て)
・住んでいる地域:大阪府
・手取り月収:36万円
・毎月の支出目安:20万円

伊藤:ご質問ありがとうございます。

両親、子(ご相談者)、孫として関係性を表記をさせていただきます。二世帯住宅で両親、子(ご相談者)、孫が同居し、建物未登記の状態で、両親が亡くなった後に孫に相続させると相続税はかからないのか、というご質問に回答いたします。

ご質問内容にはいくつかのポイントがありますが、結論としては、以下でご説明するいくつかの条件を満たし、所定の手続きをすれば、ご両親が言う通り相続税はかからないと考えられます。

なお、ご相談内容は単純ではない事項もありますので、ポイントを絞って回答しております。全体像や個別の事情等も踏まえ、専門家等にご相談いただき、実際の行動に移されることをおすすめいたします。

不動産の価値が基礎控除額の範囲なら相続税はかからない

相続税がかかるかどうかという観点で最も重要なポイントは、父母ともに両親が亡くなって財産を相続する際に、両親の課税遺産総額が以下で計算される基礎控除の金額の範囲内であれば相続税はかかりません。

相続税の基礎控除額:3,000万円+法定相続人の人数×600万

義理両親の子が、ご相談者の配偶者1人であれば3,600万円が基礎控除になります。

両親の相続財産のうち不動産の評価がどうなるかが大きなポイントになりますが、ご自宅の土地面積が330㎡(100坪)までであれば、同居親族が相続する場合には居住用小規模宅地等の特例が適用できますで、土地の評価額が80%減で計算することができます。

相続税の計算をする上で正確な説明ではないところもありますが、両親の相続時の財産として以下の合計金額を見積もって、基礎控除の金額以内になるかどうか、概算試算をシミュレーションされると良いでしょう。

・預貯金や株式等の有価証券(相続時の想定残高・時価)
・建物家屋(固定資産税評価額→毎年固定資産税を支払うときの通知書の評価額を見ればわかります)
・土地(宅地)(固定資産税評価額×1.14×20%)

もちろん、ほかにも財産的価値がある資産をお持ちであれば、計算に加える必要があります。

土地は路線価で相続財産の評価額を計算します。一般的に公示価格を100として、概ね相続税路線価は80、固定資産税評価額は70というのが標準的ですので、ざっくりの以下の試算で目安がわかります。

固定資産税評価額×1.14(=80/70)

土地面積330㎡までが、小規模宅地等の特例の適用範囲です。一般家庭では概ね十分な自宅面積になりますので、ここでは適用範囲内の土地を前提として話を進めます。

被相続人数の数に対して相続税の課税対象者は、平成28年度の大阪国税局管内で8.4%です。ご相談のケースでは相続税がかからない範囲内である可能性は高いものと思われますが、まず基礎控除の範囲内かどうかをご確認されてください。

なお、特例適用後の財産額が基礎控除を超えていなくて相続税の支払はなくても、適用前の財産額が基礎控除を超えていれば、相続税の申告手続きは必要になります。

2世帯住宅で特例を利用する際の注意点

上記の概算で重要な点は居住用小規模宅地等の特例になります。

この特例は個人が被相続人(亡くなった人)からの相続や遺贈によって、居住用や事業用の宅地を取得した際に、一定の要件を満たした場合、取得した土地のうち330㎡までの面積を限度に80%の評価減を受けられるというものです。

「遺贈」とは、遺言によって被相続人の財産を取得することをいいます。

居住用小規模宅地等の特例は2世帯住宅の場合も適用が可能ですので、今回の質問のケースでも利用が可能です。2世帯住宅には建物内部で行き来が可能な非分離型や、玄関別で建物内部で行き来ができない完全分離型などもありますが、両方の場合で原則利用可能です。

ただし、2世帯住宅では、世帯ごとに建物の区分所有の登記が行なわれていると特例は利用できません。この規定はあくまでも区分所有登記が「されていた」場合であり、ご相談のケースのようにそもそも未登記の場合は区分所有登記はないことになりますので特例は適用可能です。

また、土地・家屋は登記をすることで所有者を第三者に明らかにしますが、未登記の場合は建物の表題登記をしてから相続登記をします。未登記のまま相続手続きも可能ですが、登記しない限り、第三者に所有者であることは主張できず、当然売却もできませんのでご留意ください。

孫への相続には事前に準備が必要

居住用小規模宅地等の特例は、被相続人と同居していた親族(六親等内の血族・三親等内の姻族)が取得する場合、相続開始時から相続税の申告期限までの間、その土地を保有し続け、継続して居住し続けることが要件になります。

孫は親族に含まれますが、法定相続人ではありません。両親から孫へ直接相続で財産を残すには、遺言で孫へ遺贈するように事前準備をしておくか、養子縁組で孫を両親の養子にすることで法定相続人にすることなどの方法があります。

被相続人に実子がいる場合は、養子のうち1人までを法定相続人に含めて相続人の計算をしますので、基礎控除を増やせることがメリットではあります。

ただ、心理的・法律行為上での抵抗感から、相続税対策のためだけに養子縁組をする家庭は、実際には多くありません。まずは1つの選択肢として、覚えておいても良いかもしれません。

遺産分割協議の場で孫への遺贈を決めるようとすると、法定相続人が相続してから贈与することになり、子に相続税がかからなくても孫が贈与税の課税対象となります。

子ではなく孫に相続させるのは、相続の発生を一世代分飛ばして、相続税の課税機会を一回分減らすことを考えていらっしゃるのだと思いますが、親子が同居し続けている限り、孫へ相続させることの意義について検討することと、きちんとしたご準備が必要です。

また、孫へ遺贈する場合の相続税の計算は、通常の法定相続人による法定相続分で按分した計算の後に、孫の按分に応じた税額に2割加算されますが、そもそも課税遺産総額が非課税である基礎控除の範囲内なら2割加算は関係ありません。

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