はじめに

皆さんは「お金の扱い方」を誰かに習ったことがありますか? 学校の授業で経済の仕組みや歴史は学んでも、お金の使い方は「自分の経験=自己流」と言う人がほとんどではないでしょうか。

そんな事実の裏付けなのか、日本信用情報機構によれば、なんと1124万人もの人が消費者金融からお金を借りているそうです(2016年2月時点)。

しかし一方、誰も教えてくれなかった「お金の正しい扱い方=お金の教養」を身につけてさえおけば、将来の不安が減り、仕事に集中できる環境が整い、給料の増減に一喜一憂しない。そんな理想的な状況を作り出すことも可能だといいます。

特に社会人になって間もない若者や、いつまでたっても貯金ができないという方に必要な「お金の教養」とは何か。

東京・大阪・ニューヨークでファイナンシャルアカデミーを運営し、これまでに30冊・累計130万部の著書を出版しているお金のプロフェッショナル・泉正人氏に編集部が話を聞いてみました。


「お金の教養」を身につけ、価値観を安定させる

——まずはじめに、「お金の教養」とは何なのでしょうか?

泉: 簡単に言うと、お金をコントロールするための知識と習慣です。両親も、学校の先生も教えてくれない場合がほとんどなので、社会人になってから意識して身につける必要があります。逆に、これを学ばなければ、いくら学歴があって収入が多くても無頓着にお金を使ってしまい、貯金はゼロのままという大人になりかねません。

——「お金儲けのテクニック」ではないということですね。

はい。具体的には、「生活設計」「経済や金融の仕組みを学ぶこと」「お金のトラブル防止」「キャリア・人格形成」の4つの分野について理解することです。自分のお金に関する考えや価値観を安定させる効果があります。

——なるほど。では、具体的に伺って行きたいと思います。

教養①:自分の生活費を把握する

これは当たり前のようですが、「毎月いくら稼いでいるのか?」だけでなく「何に、いくら使っているのか?」という「出ていくお金」を把握することが重要です。

——確かに、収入は知っていても支出をきちんと把握している人は少ないですよね。

収入とは、多くの社会人の方にとって「給与」と言い換えることができます。この給与には、基本給に住宅手当や残業手当などすべてを足した「額面金額」と、そこから納めるべき税金や保険料を引いた「手取り金額」がありますが、私たちの口座に振り込まれるのは「手取り金額」。つまり、私たちはこの「手取り金額」でやりくりしていかなければならないわけです。

——出ていくお金についてどのように考えればいいのでしょうか?

まず、毎月の生活費は大きく「固定支出」と「変動支出」の2種類に分けられることを知っておいてください。「固定支出」とは、家賃や教育費といった、毎月同じ金額を支払っている、把握しやすい支出です。

対して「変動支出」は、食費や光熱費、レジャー費など、月によって変わる支出です。このほか、冠婚葬祭など一時的にかかる支出もありますが、まずは、この2種類があることだけでも分かっておくことが大切です。

チェック
生活費は、「固定支出」と「変動支出」に分けて把握しておく。

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