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2017.03.13

海外旅行中に病気に… 知らないと損する医療費の話

FPの家計相談シリーズ

海外旅行中に病気に… 知らないと損する医療費の話

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナー(FP)が答えるFPの相談シリーズ。今回は読者の家計の悩みについて、プロのFPとして活躍する野瀬大樹(のせ・ひろき)氏がお答えします。


海外旅行中に病気にかかり、帰国後に1ヶ月間入院しました。高額医療費の申請をしたおかげで医療費の一部は負担軽減され、さらに健康保険や旅行保険からも医療費の一部を還付されました。ただ、退院してしばらくの間はタクシーで通勤せざるを得ず、多額の交通費がかかりました。医療費控除では通院の交通費は対象になるとうかがいましたが、このような場合の通勤費も控除対象になるのでしょうか?
(30代後半 独身 男性)

野瀬:私は海外で仕事している税理士という関係上、この手のご質問を非常に多く受けます。

結論から申し上げますと、質問者の方の通勤交通費は、医療費控除に含めることはできません。

国税庁の見解としても、医療費控除に含めることができる交通費は「医師等による診療等を受けるため直接必要なもので、かつ、通常必要なものであることが必要であり(※所得税基本通達73-3)、患者自身が通院するに際して必要なものに限られています」とあり、そこから副次的に発生する交通費は含めないことになります。

今回お問い合わせの費用は、病気からの直接的な通院費用ではなく、そこから派生した通勤のための費用であるため、残念ながら医療費控除の金額に含めることはできません。

海外の医療費について

早速、結論が出てしまいましたが、せっかくですので海外医療費についてまとめておきたいと思います。

日本の健康保険はその制度上、海外での医療費についても適用ができます。

たとえば海外で病気になり医療費が10万円かかった場合、一旦は全額を自分で払う必要がありますが、同じ治療に日本でも10万円かかるのであれば、日本における保険組合の負担分70%(つまり7万円)は保険組合からお金を返してもらえるのです。

ただし、当然ですが、この場合は利用者の側から申請する必要があります。

具体的には「領収書」と「診断明細書」を現地の医師に書いてもらい、保険組合への提出が必要です。

また、海外での医療費が5万円で、同じ治療を日本でおこなうと10万円かかる場合は、小さい方の5万円を基準にした70%分、3.5万円が返ってくることになります。

そしてこの申請ができるのは現地で医療費から実際に支払ってから2年以内です。忘れないようにしっかり申請してください。

高額医療費も適用できる?

また、日本の健康保険には「高額医療費」という大変ありがたい制度があります。

月々の医療費負担が大変高額になった場合に、個人が負担する金額の上限を定めているのです。

いくらからが条件になるのかは所得や年齢によって細かく定められているので、一概には言えませんが、忘れがちなのはこの高額医療費の制度は「世帯分」で計算できるという点です。家族のうち一人の医療費が高かった……という時だけではなく、世帯で医療費がかさんだ場合にも利用できますので、注意してください。

この高額医療費制度についても、海外での医療費にも適用できます。帰国後にはしっかり申請して返金を受けるようにしてください。

制度を悪用する人も?

この制度は我々にとって非常にありがたいのですが、これ悪用して保険組合からお金をだまし取る詐欺が存在するのも事実です。少し前に日本の有名タレントの父親が、この詐欺で国際指名手配されました。

手口としては、海外の知人医師に、自分が現地で高額治療を受けた旨のニセ証明書を書いてもらい、それを持って日本に帰国。70%分や高額医療費として請求して、お金をだまし取るのです。おそらく証明書を書いてくれた現地に医師にも、いくらかの謝礼を払っているのでしょう。

私たちが安心して暮らせるようにするためのすばらしい制度なのですが、こういった詐欺が増えることで要件が厳しくなるのでは、と危惧しています。便利な制度には、一方で問題点もあるものですね。

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