はじめに

税制優遇を受けながら老後のための資産形成ができるiDeCo(個人型確定拠出年金)の加入対象が大幅に拡大。ほぼすべての現役世代が加入できるようになりました。これを受けて2017年2月11日(土)、「資産形成・iDeCo 1DAYスクール」と題するイベントが開催されました。

金融機関や運用会社から投資の専門家が集まり、iDeCoや老後の資産形成について語られたセミナーの中から、ソニー生命保険株式会社エグゼクティブライフプランナーの安藤潤氏による「ライフプランニングでわかる!あなたにとって適切なiDeCoの掛金とは」と題した講演の内容をご紹介します。


iDeCoの掛金は必ずしも上限が有利ではない

安藤氏: みなさんこんにちは。私は2008年にソニー生命に入社し、今年10年目を迎えるライフプランナーです。当社は電機のソニーの創業者である盛田昭夫が創立した会社です。私はこの会社と商品、仲間のライフプランナーやスタッフが大好きで、この会社で働けることを誇りに思っています。

当社の特徴は、お客さまのライフプランニングのお手伝いを重視している点です。最近は企業でも従業員を対象にした投資教育やファイナンシャルプランニングを実施するところもあるので、ライフプランニングを体験したことがある方もいらっしゃるかもしれません。

ライフステージには扉のような節目があって、その一つひとつにお金が必要になってきます。日々の生活費はもちろんですが、住宅購入、子どもの教育、車の購入などの出費を重ねながら老後を迎えていきます。長い人生の中では同じだけのお金を使っていても、その使い方を工夫したりなるべく税金を抑えるような方法をとることで家計が劇的に改善できることがあります。当社ではこうしたライフプランニングを、お客さまとご相談しながらお手伝いをしていく活動を大切にしています。

本日のテーマであるiDeCoはとても素晴らしい金融商品なのですが、その人に合った掛金の額を上手に調整することで、さらに有利に使うことができます。ここでは実際のご家族を例にしたケーススタディをもとに、iDeCoとの上手な付き合い方をご紹介したいと思います。

30歳夫と27歳妻、世帯年収700万円のケーススタディ

ここでは、30歳男性と27歳女性のカップルの、結婚直前の状態から老後までのライフプランをつくりました。3年後に息子が生まれて、5年後に娘が生まれる4人家族のケーススタディです。

夫の収入は30歳男性の平均に近い400万からスタートし、60歳で750万、60歳からは嘱託になって500万という年収を想定しています。妻は300万円程度で、育児休業の時期は約半分になり、時短勤務で復帰した後は200万から300万の間で推移しながら徐々に増え、400万円で定年を迎えるという想定です。世帯年収でいうと結婚当初は700万、一番多い時期で1000万ぐらいになります。

預貯金を300万貯まった状態で結婚したという設定で、収支がプラスになったら預金に回し、預金金利はゼロで設定しています。

光熱費や食費などの生活費は平均的なデータをとりました。10万円から始まって、35歳で第1子が産まれて2万円上がり、成長につれてさらに増え、ピークで16万ぐらいです。退職した65歳からは、12万ぐらいにダウンします。物価上昇は年0.5%で計算しています。

自宅については、当初は勤め先の住宅補助を利用して7万円の家賃を支払い、結婚10年となる夫40歳のときに4500万円のマンションを購入します。頭金は両親の援助500万円を合わせて800万円です。頭金800万円を引いた3700万円を住宅ローンで借り入れしています。40歳で購入し、退職する65歳と同時に返済が終わる25年返済のプランとしました。ローンはフラット35を利用し、金利は1%、頭金のほかに諸経費として200万円を計上しています。修繕費積立や管理費、固定資産税など自宅の維持費は月5万円としました。

ふたりの子どもの教育費は、共働きなので1歳から保育園に通い、小中高までは公立、大学は私立文系で計算しました。教育費の総額は一人あたり1485万円で、これには塾の費用や通学定期なども入っています。ちなみに大学が私立理系になると100万円ぐらいアップし、医学部になるともっと増えます。逆に国公立であればもっと安くなります。

その他の費用として、新婚旅行に100万円、毎年10万円の里帰り費用、帰省以外の家族旅行にも年10万円を積みました。子どもが生まれてからは、37歳から66歳まで10年おきに150万円の車を買っています。

夫の小遣いは月3万円、散髪代5千円、妻の携帯代や小遣い、美容院代なども細かく設定しています。旅行以外の家族のレジャー費は月2万円、ガソリン代5千円です。学生時代に奨学金を借りていた方も多いので、この夫婦も第2種奨学金を利用して20年かけて返済中と設定しています。

保険は、夫側に日額1万円の入院給付金が支給される医療保険を月5千円、子どもが産まれてからは1500万円の終身保険に加入し、こちらの保険料が月3万円。そして65歳までに万一のことがあった際には月20万円が妻に支払われる収入保障保険に月5,000円をかけています。夫の保険料はしめて4万円。妻も同じ医療保険と、貯金代わりの終身保険に合わせて月2万円をかけています。

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