はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナー(FP)が答えるFPの相談シリーズ。今回はプロのFPとして活躍する内藤忍氏がお答えします。

月の手取り収入が26万円。今、毎月貯金に回せる金額が6万円です。現在の貯金額は80万円で、貯金の目的は、病気や引っ越しなど将来の急な支出に備えるため。年8~10%のできるだけ高いリターンを目指すためには、どのような運用商品がよいでしょうか?
(30代前半 独身 男性)


内藤: 資産運用は、投資金額によって最適な運用商品が変わってくるというのが私の意見です。ご相談者の方のように、月に6万円を積立する場合、定額で自動的に投資できる投資信託を使うのが合理的だと考えます。

投資信託といっても日本には4,000本以上の商品があります。どれを選べばよいのか悩むかもしれません。これから始める人は、まず低コストのインデックスファンドを活用しましょう。

また、マネックス証券や楽天証券といった大手のネット証券経由で購入することをおすすめします。品ぞろえが豊富で、低コストのインデックスファンドが充実しているからです。

まずはインデックスファンド

投資信託には、販売時にかかる「販売手数料」と保有期間にかかる「信託報酬」の2つのコストがあります。

販売手数料がかからないノーロードファンドで、信託報酬が年間1%以下のファンドを選択すれば、コストが低い分、投資のリターンが期待できるのです。

ネット証券なら1,000円から積立を始められます。そのため6万円あれば、日本株・日本債券・外国株・外国債券・REITなど、それぞれのインデックスに連動した投資信託を組み合わせることができるでしょう。

まずは複数のインデックスファンドを組み合わせて自動積立を続けることで、資産の積み上げを目指しましょう。

現在の貯金80万円と毎月6万円の積立を平均5%で運用できれば、10年後には1,000万円を超える資産予想額になります。

若いうちは堅実な資産形成を

8%以上のリターンが期待できる商品をお探しということですが、6万円の積立や80万円の元本金額で8%のリターン実現のためには、かなり大きなリスクを取る必要があります。

例えば、海外不動産投資で賃貸収入を8%得るということは、エリアや物件をきちんと選択すれば不可能な話ではありませんが、残念ながら80万円で投資できる物件はありません。

相談者の方の場合、まずは投資信託で今ある資産と積立を組み合わせて、年平均5%程度のリターンを目指して1,000万円を目標にしましょう。

まとまった金額になったら、投資信託以外の魅力的な商品に資産をシフトさせるのがよいでしょう。さらに数千万円単位の資産金額になった時点で、海外不動産投資などの現物資産への投資を考えても遅くはありません。

まだ30代前半ですから、資産形成にかけられる時間は十分にあります。慌ててリスクを取り過ぎて失敗しないように、堅実な資産形成を心がけることをアドバイスします。

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