はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナー(FP)が答えるFPの相談シリーズ。今回はプロのFPとして活躍する野瀬大樹氏がお答えします。

おうかがいしたいことが、2つあります。
(1)外貨一時払いの終身保険を契約しています。年利2.2%の複利で、10年後には25%の利息が約束されています。為替変動があっても、利息分とレート差分の相殺で元本割れになるリスクは回避できると期待しています。生命保険なので控除が受けられます。仮に10年後に解約した場合、手元に入ったお金に確定申告は必要になりますか? 所得20万円を越えなければ、非課税でしょうか?

(2)金・プラチナ積立で価値が上がったことにより、総購入額を売価が上回っており、将来的に売却を予定しています。売却益によりますが、年20万を超えなければ雑所得として非課税扱いになるのでしょうか?
(40代前半 独身 男性)


保険解約に関する税金

野瀬: 正直、保険については「誰が」「誰に」「いつ」「どんなかたちでもらうのか」など、さまざまな要件が絡みます。ここでは「本人が払い」「本人が受取り」「満期までに」「返戻金として」受け取った場合と仮定してお話します。

上記のような条件の場合は、雑所得ではなく一時所得としての扱いになります。雑所得として扱われるのは「年金」というかたちで受け取った場合です。

一時所得の税金計算は、以下のようになります。

(収入-支払った金額-50万円)×1/2×その年の所得税率

そして雑所得と同様、この金額が20万円を越えなければ確定申告は不要です。「支払った金額」は、今までの保険料です。なお、扱いは総合課税のため、所得税率はお給料によって変わります。

ただし、すべての保険解約返戻金がこの扱いになるわけではなく、例外もあります。

例外1:贈与と扱われる場合

よくある間違いは、契約者と受取人が違うケースです。この場合は「贈与税」扱いになりますので、注意が必要です。

例外2:金融商品と扱われる場合

該当する保険が「金融商品」に類似するとみなされた場合は、株取引と同様、儲けの金額の20%が源泉徴収されます。この要件はなかなか複雑ですので、一度保険会社に確認してみるとよいでしょう。もちろん源泉徴収された場合、確定申告は不要です。

金・プラチナ積立にかかわるお金と税金

そして、2つ目のご質問ですが、金銀やプラチナの投資については、所得の扱いが少し複雑です。ケースによっては「雑所得」でOKですが、場合によっては「譲渡所得」とみなされることがあります。

簡単にいうと「継続的な投資」とみなされると「雑所得」、マイホームのような「単なる資産売却による儲け」とみなされると「譲渡所得」となります。

「雑所得」とみなされた場合は、おっしゃる通り「売却価格-購入価格」が20万円以内であれば確定申告は不要です。

ただし質問者の方の場合、頻繁に売買をしているわけではなさそうなので、おそらく「譲渡所得」に分類されます。

そして譲渡所得とみなされた場合の税金は、以下の計算になります。

保有5年以内:売却価格-(購入価格+手数料など)-50万円
保有5年以上:{売却価格-(購入価格+手数料など)-50万円}×1/2

そして、ここにその年の所得税の税率をかけます。

この計算式を見ていただければわかるように、長期保有した方がお得になります。もし保有期間が5年に近いようであれば、しっかり保有期間を計算して税金を軽くするようにしていただければと思います。

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