はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は内藤忍氏がお答えします。

私は41歳のサラリーマンです。つい先日まで浪費の限りを尽くしてきましたが、今夏に同級生と話をしたのを契機として、保険を見直し、住宅ローンも借り換えを終えて、これからは将来に向けて蓄えをしたいと考えるようになりました。今の手取り給与は約25.8万。賞与も手取り25万が2回程度です。


【現在の資産】
・横浜にある築10年の駅近分譲マンション:約2,300万円相当
・保険の見直し時に戻ったお金:約100万円
・株式:30万円
・貴金属:10万円
・貯金:20万円


年齢水準からすると、かなり悲惨なレベルだと自覚しております……。最近、“お金を育てる”という考え方に触れて、自分も遅まきながら育てていきたいと考えるようになりました。現在の運用の原資は保険解約金の約100万円と毎月の余剰金3万円程度です。このうち3万円については純金積み立てをはじめたので、保険解約金100万円の使い道についてアドバイスいただきたいです。興味があるのは、金のETFとJREITです。40代の早い内に貯金500万を目指したいと思っています。
(40代前半 独身 男性)


内藤: 41歳からでも、お金との付き合い方を改善していけば、十分に資産形成のチャンスはあります。お金の不安を解消するために、しっかりと計画を立て後悔のない資産運用を始めてください。

そのためには、まずお金の正しい知識を身に付けることと、冷静にアクションしていくことが重要です。

具体的な手順としては、「現状認識」「目標設定」「実践」という流れになります。

現状を認識し「ベストな配分」を考える

まず、やるべきことは現状認識です。保有している資産は不動産と現金、株式、貴金属などということですが、不動産に関しては、改めて現在の市場価格を査定してもらい、資産としての価値を確認しましょう。

その上で自分が保有している資産の現金換算額を合計し、ゼロベースでその資産をどのように資産配分していったらよいかを検討していくことがよいと思います。

自宅用の不動産についても、売却して賃貸に切り替える、あるいは別の物件に買い替えたほうがよいという選択肢もあり得ます。

資産の一部だけを取り出して、商品を選択して投資するのではなく、常に資産全体を俯瞰した上でベストな配分を考える習慣を付けてください。

ゴールは具体的な数値に

次にやることは、目標設定です。いつまでにどれくらいの資産が必要かという具体的な数値目標を立て、それをゴールとして資産運用の方法を考えていくのです。

目標は、金額から計算して立てるのではなく、まず「自分がこれからどんな人生を歩みたいか」を考え、そこから必要な金額を想定するようにしましょう。

金額や時期を具体的に設定するのは、簡単なことではありませんが、変更点があればその都度、修正していけば問題ありません。

とりあえずは、現時点で一番よいと思う目標を設定しましょう。

専門家に助言を求める手も

現状認識と目標設定ができたら、そのギャップを埋めるための実践方法を考えることになります。ここで初めて運用方法や投資商品の選択をするのです。

といっても、投資初心者で資産運用の経験や知識がない場合には、自分だけではなかなかうまくできませんので、専門家の知恵を借りるのがよいと思います。

お金の専門家であるFPに相談し、アドバイスを受けるとよいでしょう。この際、信頼できる正確な情報提供をしてくれるFPを探すことが重要です。

金融機関や保険会社などからは完全に独立した、客観的なアドバイスをしてくれる人を選ぶようにしましょう。金融機関から独立した活動をしていないFPの場合、利害関係のある金融機関の商品を薦められる可能性があり、ベストな投資アドバイスが得られないことがあるからです。

そして、無料相談ではなく有料の相談を選ぶようにしましょう。無料の場合は、結局必要のない金融商品を買うことになったり、レベルの高いアドバイスが受けられなかったりするケースが多く、結局は高くついてしまうからです。

ご興味を持たれている、金、ETFやREITについても、ご相談して資産にどの程度組み入れればよいかをアドバイスしてもらいましょう。

3つのステップのうち、現状認識と目標設定という2つを自分で考えてみたら、ネットなどで信頼できると思うFPにコンタクトして会ってみる。そうしてアクションすることで新しい道が見えてくると思います。よい結果につながることをお祈りいたします。

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