はじめに

格安スマホをめぐって、“こんなはずじゃなかった!”というトラブルが急増しているそうです。利用者は、どのような問題を抱えているのでしょうか。

お得に賢く活用するために知っておきたい格安スマホのサービスについて、シェアを大きく伸ばしている楽天モバイルに教えてもらいました。


トラブル急増、前年比2.75倍

NTTドコモ、au、ソフトバンクといった大手キャリアよりも、安価な料金で通信サービスが利用できる格安スマホ。固定費の節約になると人気を呼び、近年、契約者が増加しています。

しかし、利用者の増加にともないトラブル相談も急増しています。国民生活センターによると、昨年度に寄せられた相談件数は前年比2.75倍の1,045件。

「料金を抑えて今まで通りのサービスが受けられると思っていたのに、実際は異なっていた」との声が目立つそうです。

具体的には、どういったケースが多いのでしょうか? 国民生活センターは大きく分けて以下の3つの事例を挙げています。

1:今までの携帯電話会社とサービスが異なることによるトラブル

「実店舗がなく、サポートの電話窓口に何度かけても話し中でつながらない」「修理期間中の代替機の貸出サービスがない」「メールアドレスの提供がないため、メールが送れない」といった相談が寄せられているそう。

サポート体制が充実している大手キャリアでは当然のように受けられたサービスが、格安スマホでは利用できないことがトラブルにつながっています。

2:端末とSIMカードを別々に購入することで発生するトラブル

「SIMロック解除をしないと、他社のSIMカードでスマートフォンが使えない」「中古で購入した端末に未払いがあり、精算しないと修理の受付ができない」といった困惑の声もあがっています。格安スマホは必ずしも端末とSIMカードがセットになった契約ではないため、問題が起こっているようです。

3:利用開始日に関するトラブル

「SIMがまだ届いていないのに、発送から数日で利用料金が発生するとは知らなかった」といった、利用するための手続きや利用開始日についての相談も目立つそう。

実店舗を持たないことが多く、Web申し込みや郵送でやりとりするために発生している事象です。

国民生活センターは、まずは自分の現在の利用状況を把握したうえで、格安スマホ会社が提供しているサービスをきちんと確認するようにと訴えてます。

プロに聞いた格安スマホのメリット

“トラブル急増”と聞くと、格安スマホへの乗り換えを不安に思う方も多いかもしれません。しかし、その原因の多くは利用者側の確認不足。できること・できないことを事前に理解することで問題を回避することができます。

そしてやはり、固定費として家計に毎月のしかかってくる通信費を安くできることは大きな魅力です。

そこで、契約する前に知っておきたい格安スマホのサービスについて、現在、飛躍的に契約数を伸ばしている楽天モバイルで、シニアマネージャーとして活躍する鈴木さんに聞いてみました。

――はじめに格安スマホのメリットとデメリットを教えてください。

「格安スマホのメリットは、まずなによりも月々の通信料金が抑えられることです。月額料金を最大でこれまでの3分の1程度まで減らせる可能性もあります。また料金プランの選択肢も多く、自分にとって最適なプランを選べる点も魅力です。

逆にデメリットとしては、店舗を持たない格安スマホ事業者もいるため、契約者自身で利用条件などを細かく確認する必要があることです」

このデメリットを補うために同社では直接相談できる実店舗を全国に140店展開。今後も拡大していく予定だそう。また、利用者の自宅に訪問し、申込のサポートなどを行うサービスも実施しています。

たしかに、サポート体制に不安を抱く人にとって、対面で相談できるお店やサービスがあるのことは心強いですね。

――格安スマホ会社は新しい事業者が多いので、都心以外でも電波がちゃんと繋がるのか不安です……。

「格安SIMを取り扱う会社は、NTTドコモなどの通信事業者のネットワークを使用しているため、つながるエリアは大手キャリアと同じです。当社の場合、これまでドコモと契約していたお客様は、今まで使うことができた場所で同じように使えます」

大手キャリアと大差ない、サービスエリア。

一方で、ネットワークの品質の面では、多くの人が一斉にスマホを利用する平日の昼休みや夜の時間帯などには通信速度が落ちることがあります。速度にこだわりがあるのであれば、一定の時間帯だけはWi-Fiを活用して乗り切るなどの方法が必要かもしれません。

――もし端末が故障したら保証はどうなりますか?

「当社の場合、故障時の代替機の貸出はご用意がございませんが、加入いただくと新たに購入するよりも安い負担額で交換などができる有料の端末オプションを用意しています(月額500円/税別)。セット端末を購入されての契約、SIMカードのみの契約どちらにおいてもご加入いただけます」

――通話をよくする人、動画をよく観る人、どういった人が格安スマホに向いていますか?

「当社では定額通話のオプションを提供しているため、通話をよくされる方もよりお得にご利用いただけるようになりました。また、ネットを頻繁に利用する方に向けて、月々30GB使えるプランもご用意しています。学生から会社員、主婦の方まで幅広い層の方におすすめです」

楽天グループならではの特典としては、支払い月額100円につき1ポイントが付与されたり、楽天市場でお買い物するとポイントが+1倍になったりするサービスも。上手にポイントを貯めて、月々の支払いに充てれば、「スマホ料金を実質無料にすることもできる」と鈴木さんは言います。

カウントフリーで拡がる選択肢

また最近では、利用者の嗜好や利用傾向に合わせて、特定のアプリやサービスをデータ通信料に加えない「カウントフリー」サービスを提供する事業者が登場。

LINEアプリに加えて、FacebookやInstagramなどのSNSをカウントフリーにしたLINEモバイルの「コミュニケーションフリープラン」や、YouTubeやAbemaTVなどの動画、音楽サービスを対象にしたBIGLOBEの「エンタメフリー・オプション」が注目されています。

選択肢がますます拡がる、格安スマホのプラン。サービスの特性についてよく理解したうえで、自分に最適なプランを選択すれば、快適に利用でき、安さだけではないメリットを手に入れることができそうです。

総務省によると、2016年9月の格安スマホ(MVNOサービス)契約数は、1,427万件で前年同期比の33%増となりました。相談件数が増えているのは、普及が進んでいる証拠とも言えるでしょう。

※本記事内では、MVNOが提供する音声通話付きの携帯電話サービスのことを“格安スマホ”としています。

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