はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は深野康彦氏がお答えします。

貯蓄がなかなか増えません。ストレスが貯まるとエステなどに行ってしまうことが原因だとはわかっているのですが、今は脱毛代が年間10万円とエステに年間4万円くらい。ほかには子供の矯正代に年間15万円、住宅ローンは残り1,500万円ほどです。


夫婦別会計なので、夫がいくら使っているのかはわかりません。たびたびお金の相談はしているのですが、相談すると逆切れして話し合いになりません。夫は出張が多い月には10万円以上使います。「あとで戻ってくる」とは言っていますが、全額は戻ってきていないようです。夫婦の手取り月収はそれぞれ26~28万円くらいです。ボーナスについては、私は税込みで50万円が2回、夫が25万円が2回ですが、夫は支給がないときもあります。


子供は現在、幼稚園と小学校1年生です。治安の悪い地域に住んでいるので、ふたりとも私立の中学校に進学させたいです。貯金は600万円から700万円程度で最近は変動なし。構成は財形、仕組預金、株、積立投信で、保険は除いています。今年はマンションを150万円程度の現金払いでリフォームしました。将来に対する漠然とした不安があります。家計を破綻させずに、希望を叶える方法はありますか?
(30代後半 既婚・子供2人 女性)


深野: 浪費癖への対処法に関するご質問ありがとうございます。早速、回答に移らせていただきます。

夫の協力を仰ぐためには

まず、ふたりのお子さんを中学から私立へ行かせたいのであれば、ご主人の協力は不可欠と言えます。ご質問には「お金のことを相談すると逆切れする」と書かれていますが、協力を仰ぐためには差し当たって、今後、教育費がこれくらいかかる、という数字をご主人に見せてみてはいかがでしょうか。

その理由は、ライフイベント上の資金を準備をするためには、“いつまでにいくら必要か”を具体化してもらうことが重要だからです。

具体的な数字を挙げます。文部科学省が公表している「平成26年度子どもの学習費調査」によると、私立中学校3年間の学習費総額は約402万円、私立高校(全日制)は約297万円となっています。

そして、これに大学4年間の費用が加わることになります。大学の費用を除いたとしても、ふたりの子供を中学から私立へ行かせた場合、高校まで6年間で約1,398万円必要ということになります。

余裕を持った準備をと考えれば、約1,500万円は必要となります。現在、貯金は600万円から700万円ということですので、加えて900万円程度を確保したうえ、さらに大学費用もふたり分必要となるでしょう。

大学の費用をひとり500万円とすれば、ふたりで1,000万円。余裕を持って大学まで進学させるとすればあと2,000万円前後を17年間(下の子供を幼稚園年中とした場合)、毎年約118万円を積立などで準備する必要があります。

この金額でも、もしお子さんが薬学部や医学部に進学を希望すれば、教育費が不足してしまう可能性が高いと考えておくべきでしょう。上記のような現実的な数字を見せて、ご主人の協力を仰ぐのです。

一日でも早い貯蓄体質への改善を

またここで注意していただきたいのが、2,000万円前後の準備では教育費しか賄うことができない、ということです。

自分たちの老後資金、そのほかのライフイベントのお金も準備する必要になるのですから、中学校から大学まで私立へ行かせたいならば、一日でも早く貯蓄体質に家計を改善しなければならないはずです。

家計改善のポイントは、最低でもご夫婦のボーナスは全額貯蓄に回し、生活費などは毎月の収入だけで賄うことです。

仮にボーナスを全額(年間150万円)貯蓄に回せば、ふたりの子供を中学から大学まで私立に行かせても、1,000万円前後は残るので、余剰分をほかのライフイベントや老後資金に回すことができるはずです。

ただし、より余裕を持つためには、ボーナスだけではなく毎月の収入からも貯蓄できる、より強固な家計にしたいものです。

ご夫婦の収入を合わせれば、月収は52万円から56万円円もあるのですから、毎月の収入からも夫婦の意思次第で貯蓄はできると思えてなりません。

住宅ローンの返済額をはじめとする毎月の支出の内訳が書かれていないため、推測となりますが、家族構成から考えれば、月収のうち、2割から3割前後を貯蓄できてもおかしくはない気がします。

そのためには浪費癖を一日でも早く改善することが必要となります。まずは現状を知るために家計簿をつけ、支出の流れを把握してください。

支出にメリハリをつけストレスを減らす

使途不明金がないか、あるいは高額の支出がある項目をチェックして、その分野を削っていきます。さらに支出項目にメリハリを付けることも大切になります。

自分にとって「この支出だけは削れない」という項目があるのであれば、その項目には手をつけない代わりに、ほかの項目を多目に削るのです。

いわば聖域といえる部分ですが、これは車のハンドルの遊びのようなもので、聖域があるからこそ、ほかの分野で我慢できるのです。そして慣れてきて、貯蓄の原資が出るようになったら、給与天引きや自動積立貯蓄を活用して、その金額を先に貯蓄し、残った金額で生活するようにしていきましょう。

それを繰り返しながら、徐々に毎月の積立金額を増やしていくのです。

幸い時間はまだあります。いきなり大きく支出を変えてしまうとストレスになりますので、ストレスにならない範囲で徐々に貯蓄体質にしていきましょう。がんばってください。

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