はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は内藤忍氏がお答えします。

金・プラチナ積立について月々1,000円からはじめられると、ネットで頻繁にそのメリットを強調する広告を目にします。

現在、父・弟・私の三人暮らしで、父の年金&私の障害者年金と弟の給料などで生計を立てています。将来に不安があり、上記の積立に興味をもちました。証券会社・専門取引業者等、取扱も色々あります。選ぶときのポイントやリスクについて教えてください。
(40代前半 独身 女性)


内藤 :純金積立は、毎月1,000円から自分の預金口座から引き落として、金の購入に充当していくサービスです。

口座はネット証券や貴金属会社に開設し、買い付けていくことになります。購入価格は、例えば1カ月20営業日とした場合、積立金額が1万円ならば、毎日500円分ずつ購入していくことになります。

積立にすることによって、安いときには多い数量を、高いときには少ない数量を自動的に買い付ける「ドルコスト平均法」が実践できます。最初に投資を始めるには適した方法といえます。

安全資産といわれる一方、大きく値下がりすることも

マネックス証券や楽天証券などのネット証券や、田中貴金属工業や三菱マテリアルなど貴金属を販売する会社の店舗でも取り扱っています。

選択のポイントはコストと利便性。まず手数料を比較してみましょう。ネット証券より貴金属専門会社のほうが安い傾向があります。

また、積立した金を現物引き出しができるかどうかなど、各社の特徴も調べて、自分の目的にあった会社を選ぶのがよいでしょう。

金は安全資産といわれています。一般的に株式や通貨が下落すれば、金市場に逃避資金が流れ込んで価格が上昇します。また、インフレで通貨の価値が下落すれば、金の価値は上昇するともいわれます。

実際、リーマンショックの直後には通貨への不信感から、金に投資資金が流れ込み価格が上昇しました。

しかし、金は保有しているだけでは、金利や配当などのインカムを受け取ることはできません。原油や小麦といったコモディティ(商品)と同じように、需要と供給で価格が決まってくるのです。

また今後、市場に大量の金が放出されたり、金を売って別の資産に乗り換える動きが出てくれば、金の価格が下がることもあり得ます。為替の影響も受けます。

金も値下がりするときは、大きく価格が下落することは知っておきましょう。

長期的な資産形成の一部として資産の10%程度を目安

金に投資する方法としては、金のETF(上場投資信託)を使う方法もあります。金地金に対して有価証券が発行され、証券取引所に上場する商品です。

こちらは上場している金融商品ですから、ネット取引で短期的な売買も可能です。まとまった金額を投資して短期で取引したいという方には、こちらをおすすめします。

ご質問者の方のように、毎月の定期的な収入を目的とした資産運用をお考えの場合は、純金積立のような金への投資ではインカムがなく、期待した投資成果は得られないと思います。

あくまで長期的な資産形成の一部分として、資産の10%程度を目標に組み入れしていくのがよいと思います。

金投資にこだわらず、資産配分を大きな視点で考えたうえで投資商品の選択を進めていってください。

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