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2017.12.4

白衣のFPが家計指導、「お金の健康診断」を受けてみた

“お金の健診車”が有楽町にやってきた

白衣のFPが家計指導、「お金の健康診断」を受けてみた

老後破産、下流老人……。老後の不安はひとごとではありません。人生100年時代、将来について考えたとき、「健康よりもお金のほうが不安」と考える人は多いのではないでしょうか。

そんな不安を払拭してくれる、新しい福利厚生プログラムが誕生しようとしています。

今はまだトライアル段階ですが、フィナンシャルドクターが資産形成を指南してくれる「お金の健康診断」が近い将来、企業の福利厚生に組み込まれるかもしれません。


お金の健康診断ってなに?

11月29日の昼休み、JR有楽町駅の駅前にある東京国際フォーラムの地上広場に、何やら変わった白い車両が停まっていました。スーツ姿のビジネスマンたちは車両の前で足を止め、iPadを片手に何かを入力しています。

実はこれ、ロボアドバイザー「THEO」を運営するお金のデザインが仕掛けた「お金の健康診断」の受診風景です。

近づいてみると、白衣を着た女性スタッフにうながされ、iPadで問診表を記入することに。年齢、家族構成、年収、家賃、貯金といったマネープランを作成するのに欠かせない項目のほか、「自分に対して甘い性格か」「ピンチはチャンスだと思うか」「済んだことはくよくよしないタイプか」といった、一見お金には関係なさそうな質問まであります。

記入を終えると健診車に案内されます。車内には、白衣を着たフィナンシャルプランナー(FP)が3つのテーブルに分かれて座っています。指示された通りに、奥のテーブルに着席すると、さきほど入力したデータをもとにFPから結婚や住宅取得の有無などについて、いくつか質問をされ、診断がスタートします。

“お金と向き合う”を習慣化する

そもそも、なぜこんなことを始めたのでしょうか。

楽天リサーチが20~30代の男女を対象に行った「将来の不安に関する調査」によると、67.3%が「健康(病気や体力)よりも、お金(貯蓄や収入)の方が将来不安に感じる」と回答しました。

そうした不安を払拭するために、お金と向き合う習慣を生活の中に取り入れてもらおうと立ち上げたのが「お金の健康診断」です。お金のデザインと保険代理店Gift Your Lifeが共同開発した独自のプログラムをもとに診断が行われ、FPが対面でお金の使い方や貯め方、向き合い方についてアドバイスを行います。

今回のトライアルには、ユニリーバ・ジャパン、カヤック、CAMPFIRE、ビズリーチ、Japan Taxi、GAIAXの6社が参加。各社30名ほどの社員が受診しました。事前予約で枠がいっぱいになる企業もあったといいます。

住宅ローンを早く返すには? FPが指南

では、診断では具体的にどんなやり取りが発生するのでしょうか。実際に体験してみました。

今回担当してくれたのは元証券会社勤務のFP、小阪誠さん。住宅ローンアドバイザーの資格も保有しています。診断を始める前に「診断は甘口と辛口、どちらがお好みですか」と小坂さん。

「辛口」でお願いすると、お金について悩んでいることや、今後の目標について聞かれます。「住宅ローンを早く完済したい」と回答すると、「それはすごく明確な目標ですね!」と小阪さん。そして、そのためにはまずどうしたらいいのか、ローンの残年数などを踏まえて具体的なプランを示してくれます。

小坂さんによると、まず10年間はしっかり控除の恩恵を受けること。そして「その間にしっかり貯めて、11年目から繰り上げ返済を始めましょう」。もちろん、貯め方についても、ぬかりなくアドバイスしてくれます。「金利の低い定期預金ではなく、積立投資を利用して、お金にも働いてもらいながら貯めましょう。期間を考慮すると、通常のNISA(少額投資非課税制度)を2回使うのが一番適していると思います」。

そのほか、政府の掲げるスローガン「貯蓄から投資へ」が「貯蓄から資産形成へ」に変わった理由など、世の中のお金の動きも教えてくれます。気がついたら、あっという間に診察時間は終了になりました。

センシティブなお金の話をオープンに

診断後、「60点」とスコア付けされたカルテが手渡されました。「支出の管理がもう少しできるといいですね」と、カウンセリングしてくれた小阪さんによるコメントが添えられています。

診断後に手渡されるカルテ。FPが面談のうえ点数をつける。

ほかにも、事前に入力したデータをもとに分析した「固定支出の理想と平均」「お金の使い方の傾向」「ぴったりな貯金スタイル」「将来かかる支出の目安」を提示してくれます。

カルテはメールでも確認でき、同僚や友人とSNSでシェアすることもできます。受診した企業では、カルテのスコアを話のきっかけにして「食費が高過ぎる」「趣味にいくら使っている?」などと会話が広がり、センシティブだと思っていたお金の話がオープンにできるようになったという声も届いている、と同社シニア・コミュニケーション・マネジャーの藤本あゆみさんは話します。

「ウェブ上だけで診断するのもできないことではありませんが、実際にFPと話していただいて、最終的に自分の状態がどうなのか、自分には何が必要なのかを知っていただきたいと思っています。体の健康診断がお医者さんに実際に診てもらわないと判断できないのと同じように、お金の健康診断もそう考えています」(藤本さん)

今回の取り組みはあくまでもトライアルで、結果を検証してから福利厚生プログラムとしての実施を検討するといいます。実施されたら「健康診断と同じ受診率を目指したい」と藤本さんは意気込みます。

いつかやろうと思いつつ、何から手をつけていいのかわからなかったお金の問題。FPの小阪さんに指摘されなければ、控除の恩恵を受けられる期間に早まって繰り上げ返済をしたり、金利の低い定期預金に預けっぱなしだったかもしれません。日常の忙しさの中で、立ち止まってお金のことを考えるきっかけになるのは間違いなさそうです。

(文:編集部 土屋舞)

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