はじめに

せっかく頑張って貯蓄をしても、努力が水の泡になってしまう「やってはいけないこと」があります。

その一方で、やらなければ損してしまう「やるべきこと」も。マイナス金利でお金を増やしにくい今、どのような貯蓄方法がよいのでしょうか。


やってはいけない貯蓄「タンス預金」

マイナス金利政策のため、メガバンクの普通預金金利は年0.001%。100万円預金をしても、利息はわずか10円。

だからと言って現金を手元においておくタンス預金をしていてはいけません。せめて定期預金口座に預けておけば、金利0.01%でゼロではありません。金利がおトクなネット銀行や信用金庫などを利用するのもよいでしょう。

貯蓄が長続きするコツは、貯蓄したお金をすぐには使えないようにしておくこと。生活費を管理する口座とは別の、貯蓄用の口座に貯めていけば、ついつい使ってしまうことを防げます。また、タンス預金は盗難の恐れもあります。お金は金融機関に預けるのが正解です。

やってはいけない貯蓄「定期預金の複数持ち」

ネット専業の銀行だけでなく、地方銀行のインターネット支店も、メガバンクより高金利の定期預金があります。どの銀行もそれぞれに特徴をアピールしているので目移りしてしまいますが、いくつもの口座を開設して資金を分散させるのは得策ではありません。手間というコストがかかる割には、口座を分けるメリットは特にないと言えます。

資金を分散することでリスクを小さくしたいのであれば、「貯蓄」と「投資」をバランスよく振り分けるとよいでしょう。定期預金に生活費の半年分程度の貯蓄ができたら、毎月の貯蓄の一部を積立投資などに回すことも考えてみたいですね。定期預金だけでは、なかなかお金が増えない時代。投資を取り入れることも必要になってきています。

やるべき貯蓄「毎月の積み立て」

金利の高低にかかわらず、貯蓄は地道な積み立てが基本です。毎月の収入の一部を使わずに貯蓄する、という行動がなければ、金利がいくら高くても無意味になってしまいます。とは言え手間のかかる方法では、忙しい毎日を過ごしていると続かないのが現実です。

そんな時にお勧めなのが、自動的にお金が貯まる仕組み作り。勤務先に「財形貯蓄制度」があれば、ぜひ利用しましょう。財形貯蓄は給与から貯蓄分を天引きされるので、初めから無かったものという感覚になるため、「気づいたら貯まっている」という貯蓄しやすい制度です。

また、銀行の「自動定期積立」を利用すれば、毎月決まった日に普通預金口座から定期預金口座へ自動振替されて貯まっていきます。給料日の直後に設定しておけば残高不足で貯蓄に回せないということも防げます。

やるべき貯蓄「節税効果のある制度を使う」

低金利の今、お金を増やすことだけでなく、減らさない工夫が効果的になることが多くなっています。そのひとつが、節税効果のある制度の利用です。

たとえば、iDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛金が全額所得控除になり、所得税と住民税の節税になります。さらに運用益に税金がかからないので大変おトクです。

その他にも、NISA、ジュニアNISA、つみたてNISA、財形貯蓄、生命保険・年金保険の所得控除、ふるさと納税を利用するなど、節税効果のある制度があります。

NISAは、年間120万円までの投資の運用益には税金がかかりません。財形貯蓄も、利子が非課税です。通常、運用益や利子には20.315%の源泉分離課税がかかりますので、その分節税になります。

生命保険・年金保険は、保険料の金額に応じて所得控除の対象になるので所得税と住民税の節税になります。ふるさと納税は、実質負担が2000円で、地方自治体の返礼品を受取れるおトクな制度。

税金という支出を減らすことで、実質のプラスを増やす方法は堅実かつ確実。自分に利用できる制度は漏れなくチェックをしたいですね。低金利が続いている今、お金を増やすには工夫が必要です。貯蓄の頑張りは最大限に生かせるよう、おトクな情報に敏感になりましょう。

タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー。

記事提供/Mocha

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